時代と焔の守り手は龍の剣 第十話

「・・・俺も時期を見てファブレを滅ぼす、そう思いながら使用人を続けてきた。ただもっと成長して力をつけてから確実にやり遂げる、そう思い生活してきたんだ。だがそう考えていた時、ルークの誘拐事件が起こった・・・いや、正確に言えばアッシュの誘拐事件が起こった」
「・・・それが何の関係がある?」
重大に話をうなだれながら切り出すガイだが、既に比古清十郎はその内容にイラつきとある予想を浮かべながら先を促す。
「・・・その時まで俺はアッシュにもファブレの貴族らしい子供であったことから、いい感情を抱けていなかった。だが記憶も何もないまっさらな状態でファブレの家に来たルークを最初は面倒な状態で帰ってきたと思ったが、次第にそういった考えは変わっていった・・・俺はこのまま帰ってきたルークがどうなっていくのか見届けないまま復讐をしてもいいのかと、そう思えるようになった」
「・・・それでルークの成長を見届けようと思ったから復讐を諦めた、そう思ったと言うのか?」
「いや、そうじゃない・・・俺は自分で賭けをしたんだ。ルークがファブレらしい子供に成長していったなら復讐をする、もしそうでなかったら復讐をやめようと・・・そういった賭けをな」
「・・・」
尚も続くガイの独白に口を挟みつつもその考えを聞き比古清十郎は眉間にシワを盛大に寄せる。
「・・・ならばもう1つ聞くが、お前は復讐したしない関係無しにファブレを出ることになったならその後はどう生活していくつもりだった?」
「どう生活って・・・」
「答えろ、それでようやく俺もどう報告すればいいかの判断をつけられる」
「報告・・・?・・・まぁしたしない関係無しで言うなら俺はマルクトに戻るつもりだ、ガルディオスとしてな」
「「・・・!」」
そこから再度の確認にガイは何か釈然としない様子ながらもガルディオスとして戻ると言い出し、比古清十郎だけでなくジェイドまでその答えに目を見開く。
「今はファブレの使用人をやってはいるが、俺もマルクトの人間だからマルクトに愛着はある。だから俺はどちらになったにせよ、マルクトに戻る気ではいるよ」
「・・・それがファブレを滅ぼした後でも、か?」
「・・・あぁ」
そして尚語るガイに最終的に比古清十郎が物騒な確認を取ると、ガイは重く確かに頷いた。
「ふぅ・・・どうですか、カクノシンさん?」
「・・・もうコイツの真意はよくわかった。そしてこれをあるがままに伝えれば奴らは確実に失望を覚える・・・それが確実だというのもわかった、奴らにとっては残念な事だがな」
「・・・でしょうね」
そこで事態を静観していたジェイドが確認を取るように声をかけると、比古清十郎は単純にポーズではなく本気で疲れたように返しジェイドもある程度理解していたのか同意の声を向ける。
「・・・一体さっきからなんの話をしているんだ、二人とも?」
「・・・ふぅ」
しかしまだ何の事かも理解できないガイはたまらず声をかけるが、比古清十郎は溜め息を落とす。



「分からんか?なら説明してやる、半端者と言う以外に表現しえん事をやっているのだと言うことをな」








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