時代と焔の守り手は龍の剣 第十話

「まずは最初に聞こう、お前は何を思ってファブレの家に使用人として入った?」
「何をってそれは・・・ファブレで働きたいと思ったからだけど・・・」
「そういう事など俺は言っていない。俺は何の為にファブレで働こうと思ったのか、そう聞いている・・・キムラスカかマルクト、はたまた自分の為のどれだ?・・・言っておくがお前の使っている剣術がホドの一部の者以外に伝えられていないシグムント流であることは俺は知っている、嘘をつくようならこのまま斬って捨てても構わんぞ」
「っ!?」
そんなジェイドが見守る中で比古清十郎の最初の問いかけにガイが当たり障りのない言葉で返すが、すかさずある程度自分は知っていることと適度な脅しをかけた言葉で更に返されガイの表情が一気にひきつる。
「な、なんでそれを・・・!」
「お前も知らん訳でもないだろう、俺の作る陶器がホド特有の造りの物だということを・・・その時点でわかるはずだ、俺がホド出身だという事を。その俺がシグムント流がどういう物か知っていてもおかしくはないだろう。そしてシグムント流を紐解けば確実に出てくるのがホドの領主であったガルディオスの名であり、シグムント流を継承出来るのはガルディオスに連なる者か関係する者以外にはいないというしきたりだ。つまり少なくともお前はガルディオスに関係する者というのは確定していることになる」
「・・・っ!」
「そうなの、ガイ・・・!?」
その表情のまま比古清十郎に何故かと聞くガイははっきり道筋を立てられながら返された訳を聞かされ、ガイは否定出来ずに目をキョロキョロさ迷わせティアは驚きを隠せずたまらず再度の確認の声を上げる。
「・・・さぁ、答えろ。お前は何の為にファブレに入り込んだ?」
「それ、は・・・・・・わかった、正直に言う・・・俺はファブレへの復讐の為にあの家に入り込んだんだ」
「!・・・ガイ、貴方・・・」
「「「「・・・」」」」
そんなガイに最後宣告をするかのよう意志確認を比古清十郎がすると、ガイはようやく観念したかのようにうなだれながら復讐の為だと口にする。その様子にティアは口を抑え驚きを見せるが、比古清十郎を始めとした二人以外の面々は程度の差はあれ感情の薄い目でガイを見ていた・・・何故そうなっているのかと言えば他の面々は同じような考えを抱いているからだ。
「・・・ならば聞くが、お前はガルディオスの系譜の者か?それとも近い関係者か?」
「・・・俺はガルディオスの生き残りだ。本当の名前はガイラルディア・ガラン・ガルディオス、ホドがファブレ公爵に攻められ一族全員殺されはしたが俺だけがなんとか生き延びることが出来たんだ・・・」
「それでファブレ公爵に復讐しようとファブレに入り込んだ、ということか」
「あぁ・・・そうだ」
そんな感情の薄い視線のまま比古清十郎はガイの正体を問い、その姿勢のまま返してきたガルディオスの生き残りと復讐の為だということの肯定に比古清十郎は嫌悪感も何もなくただ溜め息を吐きたそうな疲れた顔になる。
「・・・ならば聞くが何故まだファブレは存在している?使用人として働いてきたなら隙を見てファブレを滅ぼす事も不可能ではなかったはずだ」
・・・何も復讐を肯定するわけではないが、ノワール達のように覚悟を決めて行動したのかをノワールの為にも聞いておかなくてはならない。比古清十郎のそんな意図が含められた物騒な質問がガイに向けられる。











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