時代と焔の守り手は龍の剣 第十話
「・・・・・・やれやれ、何も言えないようですね。アニス・・・」
「・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
そんなアニスを絶対零度の視線で見据えるジェイドの視線に、アニスはただ何も言えず息を乱したままでいる。
・・・アニスの中には正直に答えてもそうでなくても、命の危機があると考えているのだろう。正直に答えればその時点で機嫌を損ねた比古清十郎に首をはねられるかもしれない、それが嫌で黙っていたらジェイドに殺されるかもしれない・・・究極の命の選択にアニスが迷うのは当然と言えたが、そもそもからして不用意に自分本意に発言したアニスが原因なのだ。それを謝りも見直す事もせずに命の選択だけをしているアニスは、その時点で答えを見失っていた。
「・・・どうやらこれ以上はムダのようですね・・・とは言えカクノシン氏、今すぐアニスを殺すのは待っていただけないでしょうか?」
「・・・マルクトの処置があるからか」
「えぇ、まぁ」
そんないつまでも先が見えない動揺に震えるアニスを心底から見下した声を上げると、ジェイドは比古清十郎に視線を向けまだ殺さないでほしいと願い出る。
「ただどうせですからね、この際アニスからは絞り出せるだけ情報を絞り出したいと思います。そうすればマルクトに色々有利に働きますからね、それまでは確実に生かして差し上げますが・・・それ以降はどうなるかはわかりませんが、もしかしたら貴方にその刀を降り下ろしてもらうかもしれませんね」
「ジェイド!それは・・・!」
「なんでしょう、イオン様?言っておきますが、今の貴方達二人の身柄は既に捕虜に等しい。そしてアニスだけでなくヴァン謡将達はマルクトに被害を及ぼした、そんな人物達を無罪放免などそれこそ有り得ません・・・その上ではっきり言わせていただきます、導師である貴方が断固とした処置を取ろうともしない上で実権を持たないダアトなどもうピオニー陛下は信用しておられません」
「っ!?・・・そ、それは本当、なのですか・・・?」
「えぇ、陛下の名に誓って」
味方であるはずのジェイドに強く視線を向ける比古清十郎に情けなどかけるはずがないとジェイドは返すが、そんな声にたまらずイオンは声を上げる。だがジェイドはすぐさま皇帝陛下の名を出し、イオンの動揺を誘う。
「とは言え貴方は捕虜とは言えダアトのトップである導師ですからね、反抗しない限りは丁重に扱うべきだとも思っています・・・という訳で衛兵、二人を別々の場所に連れていけ!・・・くれぐれも対応を誤らないように」
「「はっ!」」
そこからすかさずジェイドは礼儀は忘れてないと言いつつも周りにいた衛兵にさっさと連行しろと命じ、衛兵二人はさっと両者を拘束に回る。その衛兵達の鮮やかな手つきを少し離れた所に刀を納めながら退避して見ている比古清十郎だが、何も言わない辺りは妥当な対応だと思っているのだろう。
「待ってくださいジェイド!待って・・・!」
「・・・」
そして力づくで連行されていく叫び声を上げたイオンに、動揺から解放出来ずにただ荷物のように担ぎ上げられたアニス・・・
「・・・ふ、随分と凝った責めをするものだな。死霊使い」
「おや、そうですか?」
その光景を黙って見ていたヴァンはその意図に気付いていたと言った声を薄ら笑いとともにあげると、ジェイドはいつものよう飄々とした声で聞き返す。
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「・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
そんなアニスを絶対零度の視線で見据えるジェイドの視線に、アニスはただ何も言えず息を乱したままでいる。
・・・アニスの中には正直に答えてもそうでなくても、命の危機があると考えているのだろう。正直に答えればその時点で機嫌を損ねた比古清十郎に首をはねられるかもしれない、それが嫌で黙っていたらジェイドに殺されるかもしれない・・・究極の命の選択にアニスが迷うのは当然と言えたが、そもそもからして不用意に自分本意に発言したアニスが原因なのだ。それを謝りも見直す事もせずに命の選択だけをしているアニスは、その時点で答えを見失っていた。
「・・・どうやらこれ以上はムダのようですね・・・とは言えカクノシン氏、今すぐアニスを殺すのは待っていただけないでしょうか?」
「・・・マルクトの処置があるからか」
「えぇ、まぁ」
そんないつまでも先が見えない動揺に震えるアニスを心底から見下した声を上げると、ジェイドは比古清十郎に視線を向けまだ殺さないでほしいと願い出る。
「ただどうせですからね、この際アニスからは絞り出せるだけ情報を絞り出したいと思います。そうすればマルクトに色々有利に働きますからね、それまでは確実に生かして差し上げますが・・・それ以降はどうなるかはわかりませんが、もしかしたら貴方にその刀を降り下ろしてもらうかもしれませんね」
「ジェイド!それは・・・!」
「なんでしょう、イオン様?言っておきますが、今の貴方達二人の身柄は既に捕虜に等しい。そしてアニスだけでなくヴァン謡将達はマルクトに被害を及ぼした、そんな人物達を無罪放免などそれこそ有り得ません・・・その上ではっきり言わせていただきます、導師である貴方が断固とした処置を取ろうともしない上で実権を持たないダアトなどもうピオニー陛下は信用しておられません」
「っ!?・・・そ、それは本当、なのですか・・・?」
「えぇ、陛下の名に誓って」
味方であるはずのジェイドに強く視線を向ける比古清十郎に情けなどかけるはずがないとジェイドは返すが、そんな声にたまらずイオンは声を上げる。だがジェイドはすぐさま皇帝陛下の名を出し、イオンの動揺を誘う。
「とは言え貴方は捕虜とは言えダアトのトップである導師ですからね、反抗しない限りは丁重に扱うべきだとも思っています・・・という訳で衛兵、二人を別々の場所に連れていけ!・・・くれぐれも対応を誤らないように」
「「はっ!」」
そこからすかさずジェイドは礼儀は忘れてないと言いつつも周りにいた衛兵にさっさと連行しろと命じ、衛兵二人はさっと両者を拘束に回る。その衛兵達の鮮やかな手つきを少し離れた所に刀を納めながら退避して見ている比古清十郎だが、何も言わない辺りは妥当な対応だと思っているのだろう。
「待ってくださいジェイド!待って・・・!」
「・・・」
そして力づくで連行されていく叫び声を上げたイオンに、動揺から解放出来ずにただ荷物のように担ぎ上げられたアニス・・・
「・・・ふ、随分と凝った責めをするものだな。死霊使い」
「おや、そうですか?」
その光景を黙って見ていたヴァンはその意図に気付いていたと言った声を薄ら笑いとともにあげると、ジェイドはいつものよう飄々とした声で聞き返す。
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