時代と焔の守り手は龍の剣 第十話

「では、アニス。申し開きしたいことがありましたらご自由にどうぞ・・・ちなみに言っておきますが、黙秘権は無駄というよりむしろ寿命が縮まりますよ。そうしたらカクノシン氏がどういう行動を取るかわからない訳ではないでしょうし、私もそれを止める気はありませんからね」
「・・・っ!」
そんなアニスにジェイドは盛大に黙ることを許さない脅しをふっかけた上でだめ押しをするようジェイドも流れのまま槍を手元に出現させ、無理から言葉をひねり出させるようにする。その様子にアニスも、その身を震えさせる。
「さ・・・どうぞ、申し開きを」
「・・・っ・・・お願い、お願い・・・助けてっ・・・助けてよぉ・・・大佐ぁ・・・」
「おやおや、命乞いですか?・・・そんな答えは求めてないんですよ、私は」
そしてもはや最後通告とも言えるような声を出され、アニスから絞り出てきたのは涙を交えた途切れ途切れの声・・・だが、ジェイドは一切その表情を歪ませない。
「それともなんですか?貴方は自分が涙を流して訴えれば今までやったこと全てがチャラになると考えですか?・・・随分と都合のいい事ですね、貴女の流した情報であのタルタロスにいた皆さんは殺されたというのに・・・」
「・・・だって、だって・・・仕方なかった、んだもん・・・パパとママの借金をあたしが返さなきゃならなくて・・・」



「そうやって両親に責任があると言っておきながら、両親の尻拭いをするために関係のない人々を殺すことが仕方ない、ですか?もう一度言いますが随分都合のいい事ですね、それこそ貴女が馬鹿にしたセカンより余程私にマルクトからすれば害悪であり人間としての常識が劣化しています」



「!!」
・・・理解してくれと言わんばかりに同情心をそそろうとせんアニスの身の上話に、ジェイドは最高に皮肉を聞かせた言葉で切って返した。アニスは自身の言葉も使われた事もあり何も返せずビクッとして静止し、ジェイドは尚も続ける。
「そうではありませんか、自分の為に他者を意図的に害し正論からは背を向け生まれに対してだけ文句を言う・・・これのどこに常識があると言えるのでしょうか?」
「・・・正論から背を向けてる、なんて・・・セカンがレプリカだってのはホントのこと・・・」
「だったら私からも改めて言いましょう、イオン様に劣化した人間モドキと今すぐ言いなさい。それが貴女の言うレプリカの定義なのでしょう、劣化した人間モドキだと言うのが」
「っ・・・!」
「吐き出した言葉は飲み込めないけど何も言いたくないから沈黙、またはイオン様が味方でセカンが敵だからイオン様は劣化してないなどと言った都合のいい言葉を出したらもう私は止めませんよ・・・脳天を貫かれ、首を切り落とされる。その感覚、存分に味わっていただきます」
「!・・・ァッ・・・ァッ・・・!」
尚圧迫するようにジェイドが追い詰めアニスの声に力が無くなっていくと、ジェイドは比古清十郎の言っていた事を再び持ち出し・・・最終的に答え次第での比古清十郎との合同での殺害宣言をした。徐々に圧力のかかってきた声にアニスはもう何をもっても反論も出来なくなったのか、過呼吸気味に息をひきつらせ顔を強張らせている。










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