時代と焔の守り手は龍の剣 第十話
「・・・・・・」
「どうされたのですか、イオン様?まさかまだ事実をお認めになりたくはないとおっしゃられるのですか?」
「っ・・・いえ、そのようなことはありません・・・」
「では何故言葉もなく黙っておられるのですか?・・・まぁその理由も大方の推測はつきます。おそらくですがアニスはどう言ったことで大詠師に協力していたのか、それに少なからず心当たりがあるから・・・ではないでしょうか?」
「「・・・っ!」」
そこから沈黙していたイオンにジェイドが話しかけるが、イオンは青い顔のまま首を振る。そんな様子にジェイドが隠している内心を掬いとったかのよう突き付けると、イオンだけでなくアニスも体をビクッと揺らす。
「ただそれを言えばアニスの立場を自分が更にまずいものとしてしまう、そう考えたから何も言おうとしなかったんでしょうが・・・そんな行動を取っている時点で貴方はアニスと共犯と見られてもおかしくはないのですよ」
「自分のスパイをしている人間を何もせず放置するなどね」
「「!!」」
・・・そんな二人に今度は話の核心とも言え、爆弾とも言える事をジェイドはハッキリと口にし二人の時を止めた。
「・・・言っておきますが、言い逃れしようとしても無駄ですよ。先程出した耳年増な方の報告書、その方は大分裏の所まで手を伸したそうでしてね・・・ダアトの大詠師の部屋を探りました所、このような証拠も発見したとのことです」
「っ・・・!」
・・・漆黒の翼の活動は預言至上主義の世界に対してのアンチテーゼが根底にあり、比古清十郎と協力していることもあり預言を詠む大元であるダアトに潜入したこともしばしばあった。しかし流石に大詠師の部屋ともなれば一般の教団員クラスではそうそう入ることは出来ない。故に漆黒の翼は数年前は大詠師の部屋に入ってはいなかったのだが、この年に入りダアトで何度か大詠師の部屋に侵入していた。
そんな漆黒の翼の収穫をジェイドから目の当たりにさせられ、アニスの表情が一気に険しくなる・・・その収穫とは何かの書状らしき物。だがそれを見ても動けないのはそうしたらやはり比古清十郎の刀が首に落ちてくるのが目に浮かんでいるからだろう。
「これらは大詠師の部屋から拝借したものだそうですが、全て導師の動向に関しての報告書になっています・・・まぁこれだけでしたら、ダアト内の身内の権力争いだと言い逃れは出来るでしょう・・・だから今一度答えていただきたい、ヴァン謡将」
そこからジェイドは着実に逃げ道を潰す為、ヴァンへと顔を向ける。
「六神将が導師をさらうためにタルタロスを襲った時、アニスの情報を元に動いていましたか?」
「あぁ、私は直接指揮を取ってはいないがな。アニスの情報を受けモースは六神将に指示を出したと思われる」
「「!?」」
・・・ジェイドからヴァンに繋げられた質問からの更なる暴露に、二人の時がまたもや止まる。だがアニスの顔はもはや死相が出ているかと言わん程、この瞬間で影が一気に顔にかかった。
「・・・ただ導師の為に補足しておくが、私もだが六神将達はアニスが導師のスパイをしていた事はモースからは伝えられていない。その事を知っていたら我々がアニスに対し妙な間を作って関係を悟らせてしまうのを心配してか、別に六神将の手でアニスが死んでも構わないと思っていたからなのか・・・真意は私にはわからんがな」
「っ・・・!」
そんなアニスに何を思ったか知らないがヴァンは火傷に塩を塗り込むようモースの黒い思惑の予想を交えたスパイの事実を自分達は知らなかった事を薄ら笑いをしながら明かし、アニスはすぐさまヴァンから視線を逸らす。
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「どうされたのですか、イオン様?まさかまだ事実をお認めになりたくはないとおっしゃられるのですか?」
「っ・・・いえ、そのようなことはありません・・・」
「では何故言葉もなく黙っておられるのですか?・・・まぁその理由も大方の推測はつきます。おそらくですがアニスはどう言ったことで大詠師に協力していたのか、それに少なからず心当たりがあるから・・・ではないでしょうか?」
「「・・・っ!」」
そこから沈黙していたイオンにジェイドが話しかけるが、イオンは青い顔のまま首を振る。そんな様子にジェイドが隠している内心を掬いとったかのよう突き付けると、イオンだけでなくアニスも体をビクッと揺らす。
「ただそれを言えばアニスの立場を自分が更にまずいものとしてしまう、そう考えたから何も言おうとしなかったんでしょうが・・・そんな行動を取っている時点で貴方はアニスと共犯と見られてもおかしくはないのですよ」
「自分のスパイをしている人間を何もせず放置するなどね」
「「!!」」
・・・そんな二人に今度は話の核心とも言え、爆弾とも言える事をジェイドはハッキリと口にし二人の時を止めた。
「・・・言っておきますが、言い逃れしようとしても無駄ですよ。先程出した耳年増な方の報告書、その方は大分裏の所まで手を伸したそうでしてね・・・ダアトの大詠師の部屋を探りました所、このような証拠も発見したとのことです」
「っ・・・!」
・・・漆黒の翼の活動は預言至上主義の世界に対してのアンチテーゼが根底にあり、比古清十郎と協力していることもあり預言を詠む大元であるダアトに潜入したこともしばしばあった。しかし流石に大詠師の部屋ともなれば一般の教団員クラスではそうそう入ることは出来ない。故に漆黒の翼は数年前は大詠師の部屋に入ってはいなかったのだが、この年に入りダアトで何度か大詠師の部屋に侵入していた。
そんな漆黒の翼の収穫をジェイドから目の当たりにさせられ、アニスの表情が一気に険しくなる・・・その収穫とは何かの書状らしき物。だがそれを見ても動けないのはそうしたらやはり比古清十郎の刀が首に落ちてくるのが目に浮かんでいるからだろう。
「これらは大詠師の部屋から拝借したものだそうですが、全て導師の動向に関しての報告書になっています・・・まぁこれだけでしたら、ダアト内の身内の権力争いだと言い逃れは出来るでしょう・・・だから今一度答えていただきたい、ヴァン謡将」
そこからジェイドは着実に逃げ道を潰す為、ヴァンへと顔を向ける。
「六神将が導師をさらうためにタルタロスを襲った時、アニスの情報を元に動いていましたか?」
「あぁ、私は直接指揮を取ってはいないがな。アニスの情報を受けモースは六神将に指示を出したと思われる」
「「!?」」
・・・ジェイドからヴァンに繋げられた質問からの更なる暴露に、二人の時がまたもや止まる。だがアニスの顔はもはや死相が出ているかと言わん程、この瞬間で影が一気に顔にかかった。
「・・・ただ導師の為に補足しておくが、私もだが六神将達はアニスが導師のスパイをしていた事はモースからは伝えられていない。その事を知っていたら我々がアニスに対し妙な間を作って関係を悟らせてしまうのを心配してか、別に六神将の手でアニスが死んでも構わないと思っていたからなのか・・・真意は私にはわからんがな」
「っ・・・!」
そんなアニスに何を思ったか知らないがヴァンは火傷に塩を塗り込むようモースの黒い思惑の予想を交えたスパイの事実を自分達は知らなかった事を薄ら笑いをしながら明かし、アニスはすぐさまヴァンから視線を逸らす。
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