時代と焔の守り手は龍の剣 第九話
・・・もうセカンの心にはヴァンに対する恐怖心は存在していない。
自身が生まれ捨てられた時、セカンの心中には強いトラウマが根付いていた。産みの親とも言えるヴァンが捨てた事への創造主に対する恐怖、そして自身がまた存在意義の無さを理由に捨てられる事への恐怖で。
・・・だがその2つのトラウマをセカンは克服出来た、他ならない比古清十郎から全てを受け入れると言われ娘として父に抱き締められた事で。
・・・自分は1人の人格『セカン・ニーツ』として生きる、そして自身の過去だけでなくこれからの未來までもを否定するようなヴァンに預言を盲目的に肯定する人物達を許したくはない・・・そう言った強く揺るがない決意を胸にヴァンの前に立ったセカンは見事、打ち勝つ事が出来た。腕を切り落とすという命の危険に陥るような怪我を負わせはしたが、それでも殺すことはなく生け捕りという難しい条件をクリアしながら。
・・・その後幾度かヴァンと話をする場面もあったりしたが、またそれは後々の話・・・
「それに導師、貴方がそのような事を言うのは正直お門違いだと私は思います。様子を見る限りでは今謡将と大詠師の事実を知ったのでしょう。本来なら部下の不始末もですが、国の存亡に関わるような秘預言は導師である貴方が知っていて然るべきだと思います・・・その上で出し抜かれた、というのであれば私も納得出来ますけど・・・どうなんですか?」
「っ・・・!」
そこからヴァンの味方に入る訳ではないが、導師としての職務怠慢に当たるのではないかと流れを受けて詰めるセカンの声にイオンは言葉を無くす。
「何言ってんのよアンタ、イオン様に向かって!ただそれをモースから知らされなかっただけじゃないの、イオン様の責任なんかじゃないよ!」
「・・・」
そのイオンを擁護する声をアニスは怒りながら上げるが、知らない事を矢面に上げてるのを置き去りにしているのでセカンはしかめっ面で目をつぶるばかり。
「そんなこともわかんないの!?レプリカってそんなとこまで劣化するなんて、人間モドキもいいとこじゃん!」
「っ・・・!!」
・・・だがアニスの勢い任せの生まれかたを盛大に差別した罵倒に、一気にセカンの目が開かれ揺れた。
「なんとか言いなよ!」
「少し黙れ・・・!」
‘ドムッ!’
「がっ・・・!?」
そんな言い方を尚も責めるようアニスは続けようとしたが、比古清十郎は声は静かにしながらも顔を盛大に怒りで歪ませ拳をアニスの腹にぶちこみ、苦悶の表情で腹を手で抑えながら土下座のように倒れ込む。
「カクノシン、さん・・・!?」
「レプリカが劣化した人間モドキだと?ならもう一度はっきりと言ってみろ」
「導師に対して、お前は人間モドキのレプリカだ、とな」
「「「っ!?」」」
・・・恐る恐るその比古清十郎の名を呼んだイオンだったが、アニスを絶対零度の眼差しで見下ろす比古清十郎から出てきた言葉にイオンだけでなくジェイドも倒れ込んだアニスも一気に息を呑んだ・・・
next story
.
自身が生まれ捨てられた時、セカンの心中には強いトラウマが根付いていた。産みの親とも言えるヴァンが捨てた事への創造主に対する恐怖、そして自身がまた存在意義の無さを理由に捨てられる事への恐怖で。
・・・だがその2つのトラウマをセカンは克服出来た、他ならない比古清十郎から全てを受け入れると言われ娘として父に抱き締められた事で。
・・・自分は1人の人格『セカン・ニーツ』として生きる、そして自身の過去だけでなくこれからの未來までもを否定するようなヴァンに預言を盲目的に肯定する人物達を許したくはない・・・そう言った強く揺るがない決意を胸にヴァンの前に立ったセカンは見事、打ち勝つ事が出来た。腕を切り落とすという命の危険に陥るような怪我を負わせはしたが、それでも殺すことはなく生け捕りという難しい条件をクリアしながら。
・・・その後幾度かヴァンと話をする場面もあったりしたが、またそれは後々の話・・・
「それに導師、貴方がそのような事を言うのは正直お門違いだと私は思います。様子を見る限りでは今謡将と大詠師の事実を知ったのでしょう。本来なら部下の不始末もですが、国の存亡に関わるような秘預言は導師である貴方が知っていて然るべきだと思います・・・その上で出し抜かれた、というのであれば私も納得出来ますけど・・・どうなんですか?」
「っ・・・!」
そこからヴァンの味方に入る訳ではないが、導師としての職務怠慢に当たるのではないかと流れを受けて詰めるセカンの声にイオンは言葉を無くす。
「何言ってんのよアンタ、イオン様に向かって!ただそれをモースから知らされなかっただけじゃないの、イオン様の責任なんかじゃないよ!」
「・・・」
そのイオンを擁護する声をアニスは怒りながら上げるが、知らない事を矢面に上げてるのを置き去りにしているのでセカンはしかめっ面で目をつぶるばかり。
「そんなこともわかんないの!?レプリカってそんなとこまで劣化するなんて、人間モドキもいいとこじゃん!」
「っ・・・!!」
・・・だがアニスの勢い任せの生まれかたを盛大に差別した罵倒に、一気にセカンの目が開かれ揺れた。
「なんとか言いなよ!」
「少し黙れ・・・!」
‘ドムッ!’
「がっ・・・!?」
そんな言い方を尚も責めるようアニスは続けようとしたが、比古清十郎は声は静かにしながらも顔を盛大に怒りで歪ませ拳をアニスの腹にぶちこみ、苦悶の表情で腹を手で抑えながら土下座のように倒れ込む。
「カクノシン、さん・・・!?」
「レプリカが劣化した人間モドキだと?ならもう一度はっきりと言ってみろ」
「導師に対して、お前は人間モドキのレプリカだ、とな」
「「「っ!?」」」
・・・恐る恐るその比古清十郎の名を呼んだイオンだったが、アニスを絶対零度の眼差しで見下ろす比古清十郎から出てきた言葉にイオンだけでなくジェイドも倒れ込んだアニスも一気に息を呑んだ・・・
next story
.