時代と焔の守り手は龍の剣 第九話

「まぁその事に関してもお話しましょう、ただし私からではなく私を止めたこの娘からですがね」
「・・・セカンが?」
その意味深に出された言葉にヴァンはセカンの方を顎でしゃくって説明役を投げ出し、イオンはセカンに視線を向ける。
「・・・どういうことなのですか、セカン?」
「・・・導師、一つお聞きしますが貴方はフォミクリー技術、もしくはレプリカという言葉をご存知でしょうか?」
「!!」
「?」
毅然とした態度で立つセカンにイオンはどう言うことなのかと先を促すが、重く出てきた2つの単語にその表情が驚きに瞬時に固まった。アニスはなんなのかと眉を寄せているが。
「どうやらご存知、のようですね」
「セ、セカン・・・何故その言葉を・・・」



「・・・単刀直入に言います・・・私はルークさん、いえ正確に言えば本物の‘ルーク・フォン・ファブレ’であるアッシュのレプリカです」



「!!」
「・・・え?」
イオンの様子から知っていると確信するが信じられないと口を挟んできたことから、セカンは自身の出生の秘密をシンプルだが痛々しくそれでいて強い声で打ち明けイオンの更なる驚愕を誘う。だがまだアニスは理解しきれていない様子で首を傾げている。
「・・・これから話す話はアニスへのフォミクリー技術の説明、そしてヴァン謡将の目的がなんなのであるか・・・それを説明するための物です。心してお聞きください・・・」
そんなアニスを見てセカンはゆっくりと語っていく、コーラル城で何が7年前に起きたのか、ヴァンの目的がなんなのか、そして比古清十郎に拾われた時の事を・・・















「・・・そして私は師匠に育てられ、今まで生きてきたんです」
「「・・・っ!」」
・・・全て語り終えた、そうして目を伏せるセカンの姿に二人は息をのんで絶句した。
「・・・念は押しておきますが、そちらの娘が言った私の事は間違いではありませんよ導師」
「・・・ヴァン・・・っ!」
そこにヴァンは薄ら笑いを浮かべ自らの行いを肯定し、イオンは滅多にない激昂の表情を浮かべた。
「何故・・・何故ですか、ヴァン!?そのような預言を知っていたならアッシュを誘拐などしてルークを作るのではなく、モースに抗議すればよろしかったではありませんか!それなのに貴方はそのような手段を取ったばかりでなく、失敗だからと容易にセカンを捨てるなどと・・・カクノシンさんがいなければどうなっていたか、分からないわけではないでしょう!?」
とうとうと溢れる怒りから出てくる言葉は倫理観に溢れ、正論に満ちている。普通の人間ならたまらず納得するところだろうが、相手が違う。
「ふ・・・そのような良心を大詠師が持ち合わせているとお思いか?現にモースは私にためらいなくアクゼリュスを落とす工作を命じた、そんな人物相手に説得が通じるも何も話すら聞かれず黙殺される可能性の方が高い・・・そうは思いませぬか、導師?」
「そ、それは・・・」
導師としての立場も通用しないし、積んできた経験が違う。イオンはヴァンにモースの事を引き合いに出され、アッサリと一蹴されてしまう。
「・・・導師、擁護してくれるのはありがたく思います。ですがヴァン謡将も大詠師もそのような些末な物言いでは心は動かしません」
「・・・セカン・・・」
「ふ・・・そちらの娘の方がよく私の事をわかっているな」
反論の糸口が見つからない様子にセカンは首を振りながらそれ以上言うのを止めるよう言い、イオンは微妙な表情で名を呟きヴァンは軽く笑みを浮かべる。










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