時代と焔の守り手は龍の剣 第九話

(・・・そろそろアクゼリュスに着くか。後は適当な場所にこいつらを連れて始末してから、レプリカ達を待てばいい・・・)
・・・数日前、デオ峠を越えアクゼリュスに向かう道の中での事。ヴァンは自身の企みを一気に加速させようと、内心で悪どい笑みを浮かべながら歩きながら剣に手を添えていた。



「む・・・?」
そしてアクゼリュスに入る少し前に差し掛かったヴァン一行の目の前に、ある姿が目に映る。
「君は確か・・・カイツールで会ったな」
「はい・・・セカンと言います」
そこにいたのはセカンで、ヴァンは何の気なしに軽い気持ちで声をかける。
「どうしたのかね、このようなところに?」
「いえ、以前にアクゼリュスが障気に満ちていてキムラスカに救援を頼まねばならないほど切迫している状況にあると導師から聞きましたので・・・私も出来れば何か手伝える事があればと思い、このアクゼリュスに来たんです」
「・・・そうか」
ここに来た訳を問えば、痛ましげにセカンが顔を歪める様子にヴァンはなんとも言えない様子で頷く。
(まぁいい、こいつ一人でここに来た所で何もなるまい・・・所詮これは代わりにもなれなかったレプリカ程度だからな)
しかしその表情の裏にはっきりとヴァンは確信と共に、セカンに対しての罵倒を浮かべていた。



・・・昔自身が命じた被験者ルークのレプリカを作った時、失敗作としてだとかどこぞに捨てに行かせのたれ死んでいたはずのレプリカ。そのレプリカが生きていて顔を見た時は内心驚愕したが、それでも些細な事だとレプリカに対しての嘲りを浮かべずにいられなかった。



「・・・では早くアクゼリュスの住民の救出に向かおうか」
「はい・・・行きましょう」
そんな様子などおくびにも見せず、ヴァンが威厳を携え出発を口にセカンも同意して先に歩き出す。












・・・そしてアクゼリュスが目と鼻の先にある。そんな近くに来たというのに、先頭を歩くヴァンはそこから少し脇に逸れるよう離れる。
(さて・・・この辺りでいいか)
そして場所に当たりをつけたヴァンは自身の目論見を加速させようと、振り返り剣を抜く・・・余計な者を排除し、後々の行動をスムーズにさせるために。その最初の餌食に選ばれたのは・・・
(まずは、代わりにもなれんレプリカからだ!)
一番近くにいたセカンだった。



‘キィンッ!’



「何っ!?」
「「「「っ!?」」」」
「・・・っ!」
・・・振り向き様放った剣撃は不意討ちとしては申し分無い速さとタイミングであった。だが振り抜いた剣撃をセカンは強い意思を持った目をしながら刀で受け止め、ヴァンに周りの兵士達の驚愕を誘発させた。
「・・・警戒していて正解でしたね。ここで動くだろうとは思ってました」
「・・・私がこうするとわかっていた、とでも言うのか・・・!?」
「はい・・・!」
剣を受け止めつつもセカンは会話をしだし、ヴァンは更に驚愕に声を揺らしながら襲撃の予知をしていたのかと言う。するとセカンは肯定しながらも刀を引き後ろに飛び、一定の距離を取る。









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