時代と焔の守り手は龍の剣 第九話
「とりあえずはまず、あちらのタルタロスまで来てはいただけないでしょうか?詳しいお話はそれから致しますので・・・」
「ああ、いいだろう」
丁寧な挨拶からタルタロスへの招致の誘いをフリングスから受け、比古清十郎はすぐに頷く。
・・・そこからタルタロスに向かい、乗り込んだ比古清十郎達。そこには神託の盾の姿はなく、本来の使用者であるマルクト兵士の姿で溢れかえっていた。
しかしそんな雰囲気を当然の物とし比古清十郎達は悠々とその中を歩いていき、向かった先はタルタロス内の一室だ。
「さて・・・導師、貴方を捕縛した訳を説明しましょう」
「「・・・っ」」
そこにいたのはマルクト兵に両脇を固められ、動けないように椅子に座らせられたイオンとアニス。アニスはトクナガを取り上げられ、戦力はないに等しい状況である。
そんな二人に入室して間もなくジェイドは捕縛の訳を話すと言い出すがやはり二人とも不当とでもこの仕打ちを考えているのか、イオンは弱くも確かに抗議の視線を送りアニスはもう猫かぶりを止め強い異議の視線を送ってくる。
「さて、まずは何から話しましょうか・・・」
「・・・一体僕達が何をしたと言うんですか、ジェイド」
「・・・何を?」
話の順序を考え込むように声を上げるジェイド。だがその様子を見てイオンはすぐさま責めるような無実を主張する声を上げるが、そこでジェイドの眉間に一気にシワが寄る。
「おかしなことを言いますね、何もしてないから我々はこうして貴方を捕らえているのですが?」
「何も、してないから・・・?」
「えぇ、本来でしたら六神将率いる神託の盾の数々の所業・・・全てを考えれば国際問題としてダアトの名の元除名処分とし、その上でダアトの名を持って六神将を掃討する命を出しても全く不思議ではないと思われます。例え我々が内密に貴方をダアトから連れ出したという負い目があったとは言え、ね。それに被害を被らせたのが我々マルクトにだけでなく、キムラスカにもという点にも注目していただきたい。カイツール軍港にバチカルからケセドニアに向かうキムラスカの領海においての武力をちらつかせての威圧行動・・・放任するだけしておいて何もしていない、というのは虫が良すぎると言う物ではありませんか?本来でしたらダアトから六神将の征伐部隊を出してもおかしくはないと思うのですが?」
「そ、それは・・・」
まずは先制と言わんばかりに導師としての態度の不適切さを述べ上げたジェイドの返しに、イオンは早速何も言えなくなる。
「それらを含めた上で我々はダアト、いえ正確に言えばダアトにおいて実質的な権限を持っている大詠師に対しての抗議をするべく貴方を捕らえたのです」
「モースが・・・?何言ってんの、大佐!ダアトのトップはイオン様だよ!」
「貴女こそ何を言っているのですか、アニス?確か貴女は大詠師の推薦により半ば強引にアリエッタと入れ替わるよう導師守護役になった、そうではありませんか?」
「!?な、なんでそれを・・・!?」
そこから暗にお飾りトップと言うジェイドにアニスが勢いよく噛み付いてくるが、すかさず返された知らないはずの導師守護役就任の事実を暴露され戸惑い目を瞬かせる。
「今より少しほど前・・・そうですね。我々親善大使一行がケセドニアについた頃ですね、とある耳年増な方から情報をいただいたのですよ。親切な方でしてね、このような報告書にまとめて私に状況を教えてくれたのですよ」
「・・・っ!」
今のジェイドに皮肉を添える言葉の多彩さはあっても、油断に奢りは一切ない。ケセドニアを通った際名は言わずともノワールからもらった報告書を出してちらつかせるジェイドの声色だけは穏やかだが冷たい視線と話の内容に、一気にアニスは体をびくつかせる。
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「ああ、いいだろう」
丁寧な挨拶からタルタロスへの招致の誘いをフリングスから受け、比古清十郎はすぐに頷く。
・・・そこからタルタロスに向かい、乗り込んだ比古清十郎達。そこには神託の盾の姿はなく、本来の使用者であるマルクト兵士の姿で溢れかえっていた。
しかしそんな雰囲気を当然の物とし比古清十郎達は悠々とその中を歩いていき、向かった先はタルタロス内の一室だ。
「さて・・・導師、貴方を捕縛した訳を説明しましょう」
「「・・・っ」」
そこにいたのはマルクト兵に両脇を固められ、動けないように椅子に座らせられたイオンとアニス。アニスはトクナガを取り上げられ、戦力はないに等しい状況である。
そんな二人に入室して間もなくジェイドは捕縛の訳を話すと言い出すがやはり二人とも不当とでもこの仕打ちを考えているのか、イオンは弱くも確かに抗議の視線を送りアニスはもう猫かぶりを止め強い異議の視線を送ってくる。
「さて、まずは何から話しましょうか・・・」
「・・・一体僕達が何をしたと言うんですか、ジェイド」
「・・・何を?」
話の順序を考え込むように声を上げるジェイド。だがその様子を見てイオンはすぐさま責めるような無実を主張する声を上げるが、そこでジェイドの眉間に一気にシワが寄る。
「おかしなことを言いますね、何もしてないから我々はこうして貴方を捕らえているのですが?」
「何も、してないから・・・?」
「えぇ、本来でしたら六神将率いる神託の盾の数々の所業・・・全てを考えれば国際問題としてダアトの名の元除名処分とし、その上でダアトの名を持って六神将を掃討する命を出しても全く不思議ではないと思われます。例え我々が内密に貴方をダアトから連れ出したという負い目があったとは言え、ね。それに被害を被らせたのが我々マルクトにだけでなく、キムラスカにもという点にも注目していただきたい。カイツール軍港にバチカルからケセドニアに向かうキムラスカの領海においての武力をちらつかせての威圧行動・・・放任するだけしておいて何もしていない、というのは虫が良すぎると言う物ではありませんか?本来でしたらダアトから六神将の征伐部隊を出してもおかしくはないと思うのですが?」
「そ、それは・・・」
まずは先制と言わんばかりに導師としての態度の不適切さを述べ上げたジェイドの返しに、イオンは早速何も言えなくなる。
「それらを含めた上で我々はダアト、いえ正確に言えばダアトにおいて実質的な権限を持っている大詠師に対しての抗議をするべく貴方を捕らえたのです」
「モースが・・・?何言ってんの、大佐!ダアトのトップはイオン様だよ!」
「貴女こそ何を言っているのですか、アニス?確か貴女は大詠師の推薦により半ば強引にアリエッタと入れ替わるよう導師守護役になった、そうではありませんか?」
「!?な、なんでそれを・・・!?」
そこから暗にお飾りトップと言うジェイドにアニスが勢いよく噛み付いてくるが、すかさず返された知らないはずの導師守護役就任の事実を暴露され戸惑い目を瞬かせる。
「今より少しほど前・・・そうですね。我々親善大使一行がケセドニアについた頃ですね、とある耳年増な方から情報をいただいたのですよ。親切な方でしてね、このような報告書にまとめて私に状況を教えてくれたのですよ」
「・・・っ!」
今のジェイドに皮肉を添える言葉の多彩さはあっても、油断に奢りは一切ない。ケセドニアを通った際名は言わずともノワールからもらった報告書を出してちらつかせるジェイドの声色だけは穏やかだが冷たい視線と話の内容に、一気にアニスは体をびくつかせる。
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