時代と焔の守り手は龍の剣 第九話

・・・そこから比古清十郎達はアクゼリュスの街から出て、障気の影響のない場所まで歩いていく・・・



「・・・えっ、あれは・・・!?」
「イオン様、あれって・・・!?」
その進行方向の先にあるものが見えたことで、イオンとアニスの表情に緊張が走る。
「タルタロス・・・まさか六神将が!?」
「ってことはあそこにティア達にアクゼリュスの人達!?まずいですよぅイオン様、早く行かないと!」
少し距離が離れた場所にその特徴的なタルタロスのシルエットを見つけ、先程リグレットと対峙したこともあり六神将の存在に危機感を覚え焦りだす。
「・・・心配はいりません、二人とも。ホラ、見てください」
「「えっ・・・?」」
そんな二人を制止するよう先を指差すジェイドの声に、二人は視線の先を目をこらして見る。するとその先から・・・
「え、あれは・・・セカン?」
「・・・それと隣にいるあのマルクトの軍人さんは誰?それに後ろのマルクトの兵士の人達は・・・?」
イオンとアニスは前から近づいてくる一団を見て、互いに眉を寄せる。その一団はセカンとマルクトの将校の二人を先頭にして何人かのマルクト兵士が付いてくるという物。
そんな一団が何故こちらに来ているのか、理解出来ていない二人を差し置きセカン達は比古清十郎達の前に来る。
「・・・ご苦労様です、フリングス少将」
「いえ、任務ですのでお気遣いなく」
するとジェイドは敬礼をしながらマルクト将校のフリングスという軍人に丁寧に声をかけ、フリングスは気遣いなくと手を出しつつ答える。
「・・・ジェイド、こちらの方は?」
「導師イオンですね?初めまして、私はアスラン・フリングスと申します。階級は少将です、以後お見知り置きください」
「は、はい・・・」
そんなやり取りにイオンが誰なのかをジェイドに問うが、フリングスは丁寧ながらもどこか油断のない視線を送りながら名乗りイオンは少し萎縮したように声を落とす。
「・・・あの・・・何故フリングス少将はこちらに?確かマルクト側からの道は通れないからから、キムラスカ側の道からアクゼリュスの方々の救出を頼んだんですよね?どうやってこちらに・・・?それとあそこのタルタロス、あれは・・・?」
しかしそれでも今の現状の不自然さを無視できなかったのか、イオンはその不自然な点2つについての質問をタルタロスに視線を向けながら行う。
「・・・その点につきまして1つ、私から導師にお知らせをしなくてはいけません」
「・・・なんでしょうか?」



「和平を成功させると言いながらその和平を破談に導かんとする神託の盾の度々の行為、それらはもう預言を免罪符にしたら看過出来るような次元の問題ではありません・・・よって導師、貴方を今ここで捕縛させていただきます!」



「えっ・・・!?」
・・・そんなイオンにフリングスは自身の方を振り向かせると唐突に毅然とした態度を持って捕縛すると宣言し、呆けたイオンの周りに後ろのマルクト兵士達が周りを囲みだす。
「イオン、様・・・っ!?」
「動けば刺します、ただの冗談と思うならどうぞご自由に」
その周りの様子にアニスはトクナガを巨大化させようと手を伸ばすが、届く寸前で眼鏡を押さえながらも油断の欠片もない視線で首元に槍を向けるジェイドの冷徹さを感じさせる声に、その姿勢のまま冷や汗をかきつつ硬直する。
「そんな、何故・・・」
「訳ならあちらのタルタロスで説明しましょう・・・丁重にお連れしろ!」
「はっ!」
打つ手のないイオンは青ざめた様子を見せるだけで、フリングスの容赦を見せない声色の命令に従う兵士に抵抗もせずすかさず拘束されたアニス共々連れていかれる。
「・・・さて、改めて自己紹介させていただきます。アスラン・フリングス少将です、以後お見知り置きください」
「あぁ」
その姿を見届けると改まった様子でフリングスは今度は比古清十郎に対し、純粋に真摯な態度で自己紹介をする。







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