「・・・え？」
「よろしいんですか？」
比古清十郎の声にイオンがキョトンとした声を上げるが、ジェイドは意に介した様子も見せず再確認を取る。
「あくまで事のついでだ、行くぞ早く」
「そうですね、では行きましょうか」
その声にすぐ答える比古清十郎にジェイドもすぐ答え、なんの淀みもなくアクゼリュスに比古清十郎達は向かおうと足を運ぶ。
「えっと、あのジェイド・・・」
「・・・なんですか、イオン様？」
だがそんな綺麗な流れにイオンがスッキリしない様子で急いで話しかけるが、ジェイドは面倒だと取れるような声色で振り返る。
「あくまで私は六神将の警戒の為にここに来た、つまり本来は救援の為の時間を割いてここに来たのです。早くアクゼリュスに戻って住民の方々の救援活動をしたいのですが」
「・・・いえ、すみませんでした・・・先を急ぎましょう・・・」
そこからくだらない用で呼び止めるなと言わんばかりの含みを入れた口調で返すと、イオンは苦い顔で何も言えなくなり先を急ぐ事を口にする。
「なら行きましょうか・・・・・・流石におかしいと思ったようですね、貴方が付いて行くと言ったことは」
「だろうな、流石にコロコロ意見を変えて奴らに付いていくのは俺らしくないと俺自身わかっていた・・・苦しい言い訳だとわかっていながらな」
そんなイオンを一瞥し先を歩き出すジェイドは隣に来た比古清十郎に小声で話しかけ、比古清十郎は疲れたような声を上げる。
「・・・それはそうと、何故あの方は付いてきたんですか・・・このような時に役に立ちたいなどと言われても、正直倒れられでもしたら迷惑になると言うのに・・・」
「事実先程先を急がねばならん時に体調を崩して休憩を取ったが、少々導師について気になる事があってな・・・」
「・・・それはなんですか？」
そんな様子から話題転換にイオンの行動を批難するジェイドだったが、神妙な口調で疑問があると言われてつられて真剣な声を向ける。
「・・・それは後で直接本人に言及する。その時は適当な場所を貸せ、お前にも聞いてもらっていた方が都合がいい。だからむしろ・・・今からは逃がすな、導師を」
「・・・わかりました」
そんなジェイドに直接答えはしないもののその中身の重要さを理解させる内容をイオンを逃がさないよう厳命する言葉と共に比古清十郎は告げ、小さく重い頷きを入れさせる。












・・・そこからの会話は特に二人の間では交わされる事はなかった。これから行く場所で何が起こっているか、比古清十郎は既にある程度の答えをジェイドから受け止めているのだから・・・






・・・そのようにしながらも、比古清十郎達はアクゼリュスへと辿り着く。
「・・・これは、想像以上ですね・・・」
紫色の障気が街全体を覆いつくす光景、それを見てイオンが痛ましげに顔を歪める。
「・・・ですが住民の方々の姿が見えませんね、それにルーク達の姿も・・・彼らはどこにいるんでしょうか・・・」
しかしそこにない姿、苦しんでいるだろうアクゼリュスの住民の姿と住民の救出に勤しんでいるだろうルーク達の姿がないことにイオンは辺りを見渡して探そうとする。
「街の外に行っているのでしょう、この場にずっといては住民の方々の体調も良くなるものも良くなりません。恐らく救助された方々とそちらに行っているのでしょう、その場所は検討がついていますのでそちらに行きますか？」
「はい、そうですね」
そんなイオンにジェイドが別の場所にいると言うと、すぐに行くと言い四人は街の外に出ていく・・・








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