時代と焔の守り手は龍の剣 第八話

「・・・あまり時間をここでかけても意味はない。俺はケセドニアまで出発する、二人だけで砂漠を渡りたくなければしっかり付いてこい」
「はい・・・わかりました。では行きましょう、アニス」
「はい、イオン様」
そんな裏があるとは露知らず、比古清十郎から出発を告げられイオンは了承を返しアニスとともにその背の後を追っていく・・・


















~同時刻、ある平野~






「・・・セカンさん、これでよろしいのですね?」
「はい、身分も不確かな私達の言葉を信じていただき本当にありがとうございます。フリングス少将」
比古清十郎から遠く離れた場所にて、セカンは銀髪の誠実そうな人柄が見えるマルクト軍の将校であるフリングス少将と肩を並べていた。
「いえ、貴女とニーツ氏の手紙の内容を見て協力を決めたのはあくまでピオニー陛下です。私はその命令に従ったまでのことです・・・ただ、あのような手紙の内容を聞けば私でも陛下のような判断を下すと思います」
「・・・ありがとうございます」
セカンの礼にフリングスは自分に礼は言わないでいいと言いつつも自身もピオニーと同じ心づもりであるとさりげに付け加え、セカンはその気遣いに改めて礼を小さく口にする。
「いえ・・・それより、これから少しすれば正念場になることが予想がつきます。セカンさん、準備は整っていますか?」
「はい・・・師匠の剣には及びませんが、精一杯勤めあげさせてもらいます」
‘チャッ’
その言葉に軽く笑んでフリングスは返すがすぐに緊迫感のある表情で用意の有無を問い返し、セカンは刀の鍔を親指で押し上げつつ前を決意のこもった瞳で見る。
(・・・ルークさん。貴方にとって、非常に辛い事を私はしてしまいます。許しを請うつもりもありませんし、謝罪をする事もありません・・・だから言わせていただきます)



「・・・私が、ヴァン謡将を殺す役割は」
・・・その声に込められた想いにはルークに対しての非情さを宣言し、自身に対しての情けの抹殺が確かにあった。















龍の剣の使い手の苛立ちの果てに見えた光明は導師の意志の確認



そして大国の協力を得た麒麟児は決意を固める



焔が悲しもうとも結果、その身を守る為に焔が信頼する者の血で手を汚す事を・・・







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