時代と焔の守り手は龍の剣 第八話

「何を・・・っ!?」
‘ダンッ!・・・キィンッ!’
「うっ!?」
シンクが不快そうな声で対処をしようとする・・・だがその刹那、比古清十郎はラルゴの方に一瞬で踏み込み横なぎに刀を振る。その刀をなんとかラルゴは持っていた鎌でなんとか防ぐが、シンクとアッシュは驚愕してラルゴは苦々しく顔を歪める。
「ふんっ!」
‘ゴッ!’
「がはっ・・・!」
だが比古清十郎は3人を動揺から立ち直る暇など与えず、刀を引くとラルゴに前蹴りを食らわせ苦悶の声とともに吹き飛ばす。
「っ・・・はぁっ!」
その光景にようやく比古清十郎を敵だと認識したシンクははっとして、瞬間的に飛び上がって蹴りを食らわせようとする。
‘キィン!’
「チィッ・・・!」
だがその蹴りはあっさりと刀で防御され、シンクは舌打ちをしながら刀を踏み台に蹴って瞬時に後ろに宙返りをしながら跳ぶ。
(距離を取ってアッシュと連携しながら戦うか、コイツは・・・手強い。それでラルゴも体勢を整えられれば3人で戦える・・・)
・・・その宙にいる中で、シンクは比古清十郎の強さと厄介さの片鱗に気付き瞬時にまとめて戦った方がいいと感じていた。下手に意地を張って個々に戦って各個撃破される危険を選ぶよりは、そちらの方がいいと思える程に。
(・・・なんだ、あの構えは?)
そんな中、着地も近く視線も比古清十郎をちゃんと見れる位置になった時にシンクは比古清十郎の奇妙な構えに仮面の中の眉をしかめる。その構えとはいつの間にか納刀した刀を鞘ごと腰から抜き、鞘の方をシンクに向けている物。
‘バン!’
「「なっ!?」」
‘ゴッ!’
「がはっ!」
・・・その瞬間、比古清十郎は親指で刀の鞘の部分を思い切り弾き出しシンクへと凄まじい早さで飛ばした。
刀の鞘が一直線に飛ぶ、その光景にシンクとアッシュは驚愕するがシンクは宙にいて体勢が悪い事もあり避けることも出来ず、胸に飛んできた鞘をまともに受けてしまいまた苦悶の声を上げてラルゴのように吹き飛ばされる。



「飛天御剣流・飛龍閃」



その技の名を比古清十郎は静かに呟く・・・飛龍閃、これは飛天御剣流において土龍閃という技に並ぶ遠距離攻撃出来る技である。この技は鞘を飛ばす為に乱発は出来ないが、初めて見る者にとっては鞘を飛ばして攻撃するなどという発想がまずないことから大抵虚を突かれて食らう事が多い。欠点としては乱発が出来ない事もあるが、飛天御剣流の技の中で数を多く占める抜刀術を鞘を飛ばす事で使えなくなる事がある。まぁあくまでも奇襲を主とした目的の技の為、そこは使用者の比古清十郎も了承の上で使っている。

・・・とは言え元々が強い比古清十郎であるので、鞘が無くても別にそこまで困る事はないが。



「ごほっ・・・」
飛龍閃の一撃を受け、シンクは倒れこんだ地面で咳きこむ。
「テメェ・・・!」
そこでようやくアッシュは自分も戦いに入る気持ちに入ったのか、比古清十郎を睨み付けながら剣を抜く。
「高見の見物から今頃戦闘体勢か、呑気な物だな」
「何・・・っ!?」
しかしそのようやくの参戦に比古清十郎は刀を肩にかけつつ呆れ、アッシュは激昂する。そんなアッシュの様子にすかさず比古清十郎は射殺すような視線と剣気を放ち、続くはずだった言葉を止めさせる。










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