時代と焔の守り手は龍の剣 第八話

「さて、話も済んだ事ですしケセドニアに向かいましょう。それとカクノシンさんもケセドニアに行かれるなら、我々と共に行きませんか?」
「あぁ、別に断る理由はない」
そんな風にナタリアのアクゼリュス行きの許可が降りることはないと考えていると、ジェイドから出発と同行の申し出が出てきた為に比古清十郎は即断で頷く。断る理由もないために。
「んじゃ行こうぜ。先に師匠が行ってんだからよ」
「あの・・・すみません、よろしいですか?」
「ん・・・なんだよ、お前?」
その同意にルークも楽しそうな声で先に行こうと言い出すが、前触れもなく突然現れた男が声をかけてきたことにしかめた表情になる。
「いや、私は貴方達のような特徴の人達を見たら手紙を渡してくれと言われたんですが・・・」
「これか?でも俺らこんな場所で手紙もらうような知り合いいねーぞ?」
その男は手紙を取り出しながらそのために話かけたと言い、ルークは手紙を受け取りながら回しながら疑わしそうにそれを見る。
「ちなみに聞きますが、その方はどのような方でしたか?」
「顔は見えませんでした、ローレライ教団の法衣を着てローブを被っていたので」
「そうですか・・・すみませんでした、わざわざ」
その様子を尻目にジェイドは相手の正体を聞くが、顔は見えなかったと言われその男に軽く頭を下げると男はそこから退散する。
「誰からかとも書いてねー・・・まぁいいや、とりあえず見てみるか」
そして手紙の外観を見終わったルークは仕方ないと言わんばかりに手紙を開き、中身を見だす・・・
(・・・いい予感など微塵もせんな)
そのルークの様子に比古清十郎は面倒な展開にしかならないだろうと思いながらその様子を見守る。
「・・・・・・はぁ!?マジかよ、これ!?」
「どうしたの、ルーク!?」
「いや、見てみろよこれ!」
その手紙を見終わったルークは驚きをたまらず口にし、ティアが中身を問いルークは手紙を手渡す。
「・・・『導師イオンは俺達とザオ遺跡に行く、てめぇらに来れるかな』・・・!?」
「イオン様がザオ遺跡に!?」
「・・・手紙の書き方からして、恐らくアッシュが差出人ですね」
その中身をティアは尻上がりに驚きながら読み上げ、アニスも驚くがジェイドは二人とは対称的に冷ややかにアッシュが差出人であると予測する。
「・・・なんの目的があってこんな手紙を出してきたんだよ、あいつ・・・」
「そんなことはどうでもいいわ、今は早くイオン様を助けに行かないと!」
「そうですよぉ、早く行かないと!」
「そうだな・・・」
その手紙を出してきた意味を理解出来ないと不気味そうな声でルークは呟くが、ティアとアニスとガイの3人はその声を無視して早くイオンを助けに行こうと言い出す。
「・・・ふぅ・・・いいのか、お前ら?話は聞いたが、お前らはアクゼリュスに向かわねばならんのだろう。そっちの小娘一人なら話はわかるが、何故お前達までもが導師救出を口にする?」
明らかに熱くなっているのはその3人だけで、ナタリアは凹んでいるのを差し引いてもルークとジェイドは明らかに引いている。そう見て比古清十郎は静かに誰も聞こえない程度に溜め息を吐いてから、アニス以外がイオン奪還に向け意気込む理由はないだろうと言う。









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