時代と焔の守り手は龍の剣 第八話
「こちらはアクゼリュスに向かう人間はカクノシン氏とアニスとナタリア殿下を除いてこの場にいる皆さんだと、私はマルクトに手紙をお届けしました。ですがこのまま殿下をマルクトに連れていけば何故来たのかと疑うのは当然ですが、キムラスカはこう疑う人間もいるでしょう。王女殿下の出奔はマルクトが唆したからこその行為だと」
「「「「っ!?」」」」
「そ、そんな!?私はそんなつもり・・・!」
「そんなつもりではないと仰りたいのですか?そのような言葉は言い訳にもなりませんよ」
王女の脱走はマルクトの陰謀にもなり得る・・・そのような衝撃の推測を聞かされルーク達が一斉に驚きナタリアがそれを否定しようと急いで声を上げるが、ジェイドはすかさずその言葉を止める。
「先程貴女も仰ったでしょう、マルクトとキムラスカは元々敵同士であったと。和平に来た私がこのようなことを言うのはなんですが、キムラスカ内にマルクトの存在を快く思っていない人間は少なからずいてもおかしくはありません。この場にいる貴女の意志はさておき、誰の許可を取るでもなく無断でバチカルを出た貴女の行動・・・これを好機と捉え、マルクトが殿下をさらって人質にしたのだと悪意極まる発言をインゴベルト陛下にする人間がいてもおかしくはないのですよ・・・マルクトと戦争する好機と考え」
「「「「っ!?」」」」
「信じられないと言いたいですか?ですがこれは十分に有り得る事なのですよ、殿下」
そして続いた言葉に一同は更なる驚愕に包まれるが、ジェイドは更に続けていく。ナタリアはあまりの衝撃にパクパク口を開き、顔を青ざめさせている。
「例えアクゼリュス救援がうまくいったとして結果を報告しても、まず我々マルクトが殿下を連れていった事実はどういうことだと追求されるのは免れられません。貴女の意志だと主張しても結果我々は押し止める事が出来なかったのですからね・・・その時点でいらぬ疑いをかけられ、せっかく対等にうまくいくはずだった和平は結果としてマルクトが平謝りの下手に出た物で終わる可能性すら出てきます・・・まぁそのような事を言われれば殿下をこちらに来させてしまったキムラスカの体制についても反論しますが、殿下が我がマルクトとの対等な関係で和平を望んでおられないと仰るならそれでよろしいのかもしれません。しかし、事は更に重大です。アクゼリュスに蔓延する障気は屈強な男の方々を行動不能に陥らせる程深刻な物です。そのような場所は本来我々のような軍人か、あるいは国から派遣された人間以外は立ち入り禁止にして然るべき所です。そのような所に殿下をお連れして体調を崩されてしまえば、それこそ我がマルクトの責任問題となります。障気を体から取り除くなどそうそう容易い事ではありませんからね」
「そ、そんな・・・!ならばルークは何故!?」
「彼はインゴベルト陛下にアクゼリュス救援を命じられた公の任務を持つ人間です。勿論最大限我々とともに身の安全には勤めてはいただきますが、もし不慮の事態に陥ったとしても最悪キムラスカから派遣したのだろうと反論することも出来ます・・・ですが貴女はインゴベルト陛下から、何の命も賜ってはおられない。だからその事が非常に我々にとって厄介なのですよ、どちらにとっても戦争の口実になり得てどちらにとっても殿下の行動の非を押し付けたい・・・その両国の摩擦を考えての事からカクノシン氏は仰られたのですよ、王女として行くのかナタリア一個人として行くのかをね・・・」
「・・・っ!」
・・・ジェイドの言葉を聞きながらも1度はなんとか反論したものの、ナタリアは比古清十郎からこういう事を考えての発言だったと言われようやく取った行動のまずさに気づいたのか愕然とした表情で下を向く。
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「「「「っ!?」」」」
「そ、そんな!?私はそんなつもり・・・!」
「そんなつもりではないと仰りたいのですか?そのような言葉は言い訳にもなりませんよ」
王女の脱走はマルクトの陰謀にもなり得る・・・そのような衝撃の推測を聞かされルーク達が一斉に驚きナタリアがそれを否定しようと急いで声を上げるが、ジェイドはすかさずその言葉を止める。
「先程貴女も仰ったでしょう、マルクトとキムラスカは元々敵同士であったと。和平に来た私がこのようなことを言うのはなんですが、キムラスカ内にマルクトの存在を快く思っていない人間は少なからずいてもおかしくはありません。この場にいる貴女の意志はさておき、誰の許可を取るでもなく無断でバチカルを出た貴女の行動・・・これを好機と捉え、マルクトが殿下をさらって人質にしたのだと悪意極まる発言をインゴベルト陛下にする人間がいてもおかしくはないのですよ・・・マルクトと戦争する好機と考え」
「「「「っ!?」」」」
「信じられないと言いたいですか?ですがこれは十分に有り得る事なのですよ、殿下」
そして続いた言葉に一同は更なる驚愕に包まれるが、ジェイドは更に続けていく。ナタリアはあまりの衝撃にパクパク口を開き、顔を青ざめさせている。
「例えアクゼリュス救援がうまくいったとして結果を報告しても、まず我々マルクトが殿下を連れていった事実はどういうことだと追求されるのは免れられません。貴女の意志だと主張しても結果我々は押し止める事が出来なかったのですからね・・・その時点でいらぬ疑いをかけられ、せっかく対等にうまくいくはずだった和平は結果としてマルクトが平謝りの下手に出た物で終わる可能性すら出てきます・・・まぁそのような事を言われれば殿下をこちらに来させてしまったキムラスカの体制についても反論しますが、殿下が我がマルクトとの対等な関係で和平を望んでおられないと仰るならそれでよろしいのかもしれません。しかし、事は更に重大です。アクゼリュスに蔓延する障気は屈強な男の方々を行動不能に陥らせる程深刻な物です。そのような場所は本来我々のような軍人か、あるいは国から派遣された人間以外は立ち入り禁止にして然るべき所です。そのような所に殿下をお連れして体調を崩されてしまえば、それこそ我がマルクトの責任問題となります。障気を体から取り除くなどそうそう容易い事ではありませんからね」
「そ、そんな・・・!ならばルークは何故!?」
「彼はインゴベルト陛下にアクゼリュス救援を命じられた公の任務を持つ人間です。勿論最大限我々とともに身の安全には勤めてはいただきますが、もし不慮の事態に陥ったとしても最悪キムラスカから派遣したのだろうと反論することも出来ます・・・ですが貴女はインゴベルト陛下から、何の命も賜ってはおられない。だからその事が非常に我々にとって厄介なのですよ、どちらにとっても戦争の口実になり得てどちらにとっても殿下の行動の非を押し付けたい・・・その両国の摩擦を考えての事からカクノシン氏は仰られたのですよ、王女として行くのかナタリア一個人として行くのかをね・・・」
「・・・っ!」
・・・ジェイドの言葉を聞きながらも1度はなんとか反論したものの、ナタリアは比古清十郎からこういう事を考えての発言だったと言われようやく取った行動のまずさに気づいたのか愕然とした表情で下を向く。
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