時代と焔の守り手は龍の剣 第八話

・・・比古清十郎がジェイドに一足先にケセドニアに戻ると言って、その翌日・・・比古清十郎は船に乗ってケセドニアに向かったかと思われていたが・・・
「チッ・・・」
事実は違い一人不機嫌に舌打ちをしながら、砂漠の地を踏み締め歩いていた。



・・・さて何故比古清十郎が砂漠を歩いているのかと言えば、それはいざ船に乗ろうとしたら神託の盾の船が海上に広がっていて危険があるから出港出来ないと言われ、いつ出港出来るかわからないためにやむ無く徒歩でケセドニアに向かう事を選んだのだ。

これがキムラスカの何か役目を負った人間だったらどうにか無害な人間だとでもアピールしながらケセドニアに向かう船にでも乗れただろうが、あいにく比古清十郎はどの国に属する人間でもない。故にいつ来るかわからない船を待つよりはと思ったのだが・・・



「・・・神託の盾・・・どうやって斬り殺してやるか・・・」
砂漠を歩くなど自身の経験でも滅多になく、絶えず気だるい暑さがつきまとう鬱陶しさは比古清十郎からすれば耐え難い物がある。この原因を作った大元である神託の盾に対して壮絶な恨み言を口にしつつ、自身の選択にイライラしながら先を進んでいった・・・












・・・そして砂漠の中のオアシスにたどり着いた比古清十郎。その時水を飲んでさっさと立ち去って先に行くことも出来たのだが、やはり溜まった鬱憤は晴らしたかったらしくオアシスに建っている店で酒を浴びる程飲み一夜を明かした。



「ふぅ・・・久しぶりだな、こんなに飲んだのは・・・だがそのおかげで気分は大分いい」
店から出ながらも比古清十郎は不機嫌さが少し収まった様子を見せている比古清十郎。酒の力は偉大と言った所だろうが、手の中にある酒のビンを再び口に傾ける辺りまだ飲み足りないのだろう。
「さて、さっさとケセドニアに向かうか。早く行って居酒屋で飲みながら・・・」
「あれ・・・もしかして、カクノシンか?」
「ん・・・っ!」
そこからさっさとケセドニアでまた飲もうと足を動かそうとするが、後ろから本名を呼ぶ声がしたので振り返ると・・・そこにはルーク達がいた。その光景に驚き目を見開く比古清十郎だったが、その中に申し訳なさそうに顔を暗くしているジェイドを見つける。
「どうしたんだよ、カクノシン。お前バチカルにいたんじゃないのか?」
「・・・用事が済んだから帰ろうとしたら神託の盾の船が海上を封鎖していると聞いたから、陸上からケセドニアに向かおうとここに立ち寄ったのだが・・・そっちはどうしてここにいる?導師守護役がいて導師がいないこともだが、そっちの新しいツレは誰だ?」
だがルークはそんなジェイドの様子に気づかず質問をしてきて、比古清十郎は一応質問に答えつつもその顔ぶれについて問い返す・・・イオンがいないことと、新しくルーク達の同行者になったらしき貴族らしき女の事を。
「貴方がカクノシン・ニーツですわね。ルークからマルクトから戻る旅の道中のお話をお聞きしました、私はナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアですわ」
「・・・は?」
だがその問いに対しての女からの堂々とした名乗りに対し、比古清十郎はたまらず間の抜けた声を上げた・・・ナタリアというキムラスカの王女の証である名を聞き。








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