焔と渦巻く忍法帖 第九話

「あ~、船旅って久しぶりだな~」
「気持ちいいってばよ~」
船に乗ったルーク達は同行者達と離れて甲板でまったりしている。潮風を受け、波の音をBGMにしている二人はとても気持ちよさそうに顔をまどろませている。
「ふわぁ・・・眠ぅ・・・」
「どうせだからまた誰もいないところに行って寝るってばよ」
「ん・・・ちょっと待て・・・」
さっさと別の場所に移ろうとしていたナルトを呼び止めるルーク。すると階段から兵士がこちらに向かってきた。
「ルーク様、グランツ謡将が話があるとの事です。甲板でお待ち下さいとのことですが・・・」
「・・・わかった。もういい、下がれ」
敬礼をとり、老け髭の呼び出しがあると告げられる。その瞬間、ルークの気分は一気に降下してしまい、兵士におざなりな態度で接してしまった。
「ルーク様・・・何か私に不手際でも・・・?」
ルークの態度に、自分が何かしてしまったのかと脅えてしまう兵士。
「あぁ、あんたのせいじゃない。とりあえずもう下がっていいよ」
「・・・ハッ、失礼します!!」
顔に不機嫌というのが出てたのが兵士の態度からわかったルークは訂正を入れる。それに安心した兵士は敬礼を返し、階段の方へと戻っていった。
「・・・呼び出しとは随分と偉い立場になったな、老け髭・・・」
「気持ちはわかるから落ち着けってばよ」
普通話があるというなら自ら向かうもの、ましてや呼び出しなど馬鹿だと言ってもおかしくはない。それに年は上とは言え、ルークは王族の貴族で老け髭は兵士をまとめる主席総長という実質的な兵士を納める役職。二人の身分の差は明らか。それを剣術の師だからといって、ないものと考えたこの態度。ここは外、バチカルの屋敷の中とは違う。礼節のひとつすらわきまえていないのかと、ルークとナルトは思っていた。
「ここで下らない世間話でもしようものなら消滅させてやろうかなぁ・・・」
「もしそうなら俺にも少し残しておけってばよ」
礼儀知らずにはこりごり、やり場のない気持ちを抑えるのはもう二人にとって面倒くさくなっていた。



そんな黒い話し合いが行われていることなど露しらず、老け髭は悠々と階段から現れてきた。
「待たせたな、ルーク」
「師匠!!」
先程までの不機嫌さなど全く見せず振り向きざま、笑顔を見せるルーク。
(人の事言えた義理じゃないけど、大した役者だってばよ。ルーク)
そんな事をナルトが思っていると、老け髭がナルトの方に近付いてくる。
「すまないが、私とルークを二人きりにしてくれないか?大事な話をしたいんだ」
暗にお前は消えろと、目元だけを笑わせた笑みを浮かべポンと肩に手を置く。
「・・・わかったってばよ。邪魔にならないようあっちに行くってば」
目線を一瞬だけルークに送った後、ナルトは素直に老け髭の言葉に従い向こうの甲板へと走り去って行った。



(さーて、老け髭はどうするのかな~?)
しかし、ナルトが黙って引き下がる筈がない。誰にも見えない位置まで後退した後、ナルトは船の外側の壁に飛び下りて張り付き、そのまま壁を歩いてルーク達がいる方の甲板へと戻っていった。
(さ、ゆっくり話していいってばよ。ルーク)
「それで話ってなんですか、師匠?」
ルークもナルトが何もしない訳がないと踏んでいた為、適当に話をそらしていた。案の定ナルトが来た瞬間ルークはそらしていた話を元に戻し、老け髭への質問を開始した。





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