焔と渦巻く忍法帖 第九話

「んで、サフィール。どうして煙デコはサフィール達に俺をどうさせようとしてたんだ?」
二人の意思確認を終えた為、話を元に戻すルーク。
「あぁ、同調フォンスロットを開けと言ってきたんですよ」
「同調フォンスロット?何だってばよ、それ」
「体内にあるフォンスロットを開けば、完全同位体限定でオリジナルとレプリカの意識を繋げる事が出来るんですよ。もっとも煙デコは何のために開くのかというこちらの質問には答えませんでしたがね」
「意識を繋げる、か。まぁそれは無理だな。だって俺はこっちに向かってないって事になってるから」
「繋げる意味も今となっては全く無いしね」
さくさくと出来ている流れ、この四人は昔からの仲間かのようにどんどん話が進んでいっている。



このままの流れでまだ話が続くかと思われた時、ルークとナルトの二人はピクッと何かに反応した。
「・・・シンクにサフィール、とりあえず二人はこの場から離れろ。眼鏡狸達がこの城にたどり着いた」
シンク達と話ながらも、辺りの気配を探っていた二人。言われたシンク達はそんなことまで出来るのかと、ただ感心していた。
「表向きは煙デコの単独犯行にしたいから二人が見つかると面倒な事になるってば。早く行くってばよ」
「分かったよ、つまらない事で僕らが煙デコのしわ寄せを受けたくないしね」
「シンク。仮面返すぜ」
持っていた仮面をシンクに被せるルーク。
「全部終りゃ仮面をつける必要はねぇんだ。素顔でお前と過ごす時間、楽しみにしてんぜ」
「・・・フ、フン」
ニカッと笑顔で告げるルークに、シンクは照れ隠しのようにそっぽを向いて走り去っていった。
「それでは私もこれで失礼させていただきます」
サフィールもシンクの後を追おうと後ろを向く。
「ちょっと待った、サフィール。念の為に聞くけどこのフォミクリー装置はまだいるか?」
そこにルークが制止をかけ、装置の事を聞く。
「いえ、もう必要はありませんが・・・何をするつもりですか?」
「あぁ、ちょっとぶち壊そうかと思って」
なんでもない出来事かのように、あっさりと言うルーク。しかし特に反対する理由もサフィールにはなかった。
「いいですよ、別に」
壊す事自体はどうでもいい、だが何故壊すのかという疑問もサフィールにはあった。
「何で壊すんですか?」
「こんなとこまで来て煙デコにすら会えず、異常が何もなしに人質奪還ってなったら逆に怪しいだろ。だから何か異常が起こってこの場にいた煙デコは撤退したって思わせんだよ」
「・・・徹底していますね。ではその役目は二人が請け負うのですか?」
「いいだしっぺは俺らだから当然だってばよ」
「そうですか。なら私も撤退させていただきます」
「おう、またな~」
浮遊椅子で帰っていくサフィールを手を振って見送り、フォミクリー装置へと向き直る。
「さってっと~。んじゃぶち壊そうか、ナルト」
「どうせだからあの技で壊すってばよ」
「あの技・・・あぁ、あれか。いいぜ、二人いっぺんに中心部をいくぞ」
やりとりを終えると二人は同じ印を組み、ルークは右手で左手を支え、ナルトは左手で右手を支える型をとった。フォミクリー装置を前にしてルークは上に陣取りナルトは下に陣取る。



「「行くぞ・・・千鳥!!」」



ルークは左手から、ナルトは右手から雷のチャクラを目に見える程に纏わせ、フォミクリー装置に各々の手をぶちこむ。その瞬間、バチィッと機械がショートする音が装置から聞こえてきた。
「よし、ナルト。撤退するぞ。もう少しすれば爆発する」
「分かってるってばよ」
音が聞こえた瞬間、サッと手を引き抜き声を掛け合った後、二人はその場から一瞬で姿を消した。






‘ドォォォォォォン’
コーラル城から少し離れた平野で爆発音を確認する二人。それを聞いた二人は満足そうな顔でカイツールの方に走っていった。




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