焔と渦巻く忍法帖 第八話

「あんたらは・・・!?」
シンクはいきなり現れたルーク達に戸惑いながらも、バックステップで距離をとる。しかしバックステップを終えた瞬間、目の前からナルトがシンクの視界から前ぶれもなく消え去ってしまった。
「そんな警戒する必要ないってばよ。シンクをどうこうするために俺達はここに来た訳じゃないんだし」
するとまたシンクの背後からナルトの声が聞こえてきた。
「そうそう、おとなしくしてりゃなーんもしねぇから安心しろよ」
そのナルトの声に合わせて、ルークが優しそうな声で言う。しかしシンクがルークの方を見ると、彼の傍らにいるディストは逃げられないようにと首にクナイを当てられ、逃げ出そうとしたら死、そんなプレッシャーが向けられているとシンクにも感じとれた。
「・・・何が目的なのさ?」
逃げられない、そうシンクの脳裏に直感で浮かんだ。それと同時にヴァンからの報告にないレプリカルークの変貌振りともう一人の少年にシンクは純粋な興味を無自覚ながら持ったため、抵抗をすることなくルーク達に質問をぶつけた。
「煙デコ・・・あぁアッシュは何でここにいねぇんだ?」
「・・・煙デコ?煙デコって何さ」
「俺達は気に食わない相手は名前じゃなくてあだ名で呼ぶ癖があるってば。気にしなくていいってばよ」
気に食わない、それはわからないでもないシンク。煙デコとは六神将での同僚だが、元貴族の無駄なプライドの高さが混じった高圧的な態度はシンクも気にいらなかった。
「それはどうでもいいとして、何でアッシュはいねぇんだ?」
「・・・煙デコでいいよ。僕もあいつ嫌いだし」
シンクも仮面だから表情ははっきりとは分からないが、煙デコの事を言った時は不機嫌になっているようにルーク達は感じた。
「・・・煙デコは僕達にイオンとルークの奪還を任せてさっさとタルタロスに戻ったよ」
「これって老け髭、あぁ師匠は関わってねぇの?」
「あぁ、関わってないよ・・・あれ?」
また新たなあだ名が聞こえてきた。しかし師匠という単語から予想出来るのが、ヴァンという自分達の上司でルークを作る指示を出した大本人だ。ヴァンはレプリカルークは操り人形だと言っていた。しかし明らかに今尊敬の欠片もないあだ名がシンクの耳の中に入ってきたため、疑問に思った。



「好きな訳ねぇだろ、超振動欲しさに俺を捨てゴマにするようなヤツ」



するとシンクの疑問の声に答えるように、あっさりと本音をルークは打ち明けた。その言葉にディストは目を限界まで見開いてパクパクと口を動かし、シンクも仮面で表情は分からないが動揺しているのが雰囲気だけで分かる。
「いきなり言い過ぎだってばよ、ルーク」
「別にいいだろ、シンク達にはどっちみち協力してもらうんだし」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!!」
動揺から立ち直ったディストが制止をかける。
「あ、あなたは何で捨てゴマにされるとか言うんですか!?まるで・・・」
「まるで俺を作った時の会話を聞いていたようじゃないですか!・・・か?」
「「・・・!!」」
ディストの言葉を先読みしたルークの言葉に間違いはない、ディストが黙ってしまったのがいい証拠だ。それと同時に、衝撃の事実がルークの口から明らかにされたためシンクも一緒に押し黙ってしまった。
「いい機会だから話してやれってばよ。ルークの事と俺の事を」
「そうだな・・・おーい今から説明してやっから立ち直れ~」
ルークがそう言うと、シンクもディストもハッと気を取り戻して話を聞き逃すまいと体勢をルーク達に向けかえた。




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