焔と渦巻く忍法帖 第八話

「やっぱ馬鹿ばっかだよな、あいつら」
コーラル城へと向かって走りながら会話をする二人、先程からの怒りは少しは収まったがまだ言い足りないルークはナルトに愚痴りながら走っていた。
「カイツールでのやりとりを見てんのに罠を張ってないって言い切れる根拠はどこにあるってばよ。煙デコはルークに殺意を持ってんのが明らか、六神将はイオン奪還を目的にしてる。コーラル城に危険がない訳ないってばよ。コウモリ娘と修頭胸は主を危険に晒していいのかってば?それを言えば眼鏡狸もイオンの事を考えて止めるべきだったってばよ。更にフェミ男スパッツは調べたい事があるっていうことを言い出して、乗っかる形で同行するって言ったってばよ。あれは隊長の命なんかついでだって言ってるようなもんだってばよ」
・・・ナルトもまた言いたい事を溜め込んでいたようだ。
「あーまだまだ言い足りねぇ、馬鹿ばっかに囲まれんのはもううんざりだっつーの!!」
「同感だってばよ」
二人も我慢することに疲れきっている、演技内で言える言葉は自然と限られてくるため、これでもまだ言い足りない方なのだ。



愚痴タイムを行きの時間全てに使いながら、コーラル城にたどり着いた二人。
「久しぶりになんのかな、ここ」
ツタだらけでボロボロの城、いや廃墟を見上げて心なしか懐かしそうな顔でそっと呟くルーク。
「どうしたんだってばよ、ルーク」
「いや、ここで俺が産まれたんだって思い返してたんだよ」
「ん?ここがルークの産まれた場所だってば?」
「あぁ、あの時のままならここにはレプリカを作る為のフォミクリーの譜業があんだよ・・・老け髭が撤去してなきゃな」
老け髭の事を口に出したルークは途端に不機嫌になる。
「・・・元はと言えば老け髭が煙デコをタコ頭にゆで上がらせたのが俺らのイライラの原因なんだ・・・どうしてくれようかなぁ」
「ゆで上がってるなら極寒の檻に入れるってばよ。さっさと中に入るってば」
ナルトがそう言うと二人はさっさと城の中へと潜入していった。



城に侵入した二人はすぐさま気配を探ろうと、辺りに意識を集中させてみた。
(あれ・・・これは・・・)
すると然程遠くない位置からある二つの気配、やや遠い位置に弱々しい気配を一つルーク達は感じとった。しかしここにいるべきのある気配がないことに二人は気付いた。
「あの煙デコ・・・」
「・・・いないってばよ」
カイツールを襲い、ルークに来いと言ってきた煙デコの気配が全く感じられない。二人は顔を見合わせ、間違いではないと互いに確認をとった。
「でもまぁ逆に・・・」
「これでいいっちゃいいってばよ」
しかし、残りの気配は確実に二人の狙い目。まぁオマケの一人がいるがどうでもいいと思った二人は顔を綻ばせ、二つの気配へとさっさと向かって行った。






「ねぇ、何で僕達がアッシュの手伝いなんかしなきゃいけないのさ」
「いいじゃないですか、ここで導師イオンを奪還してしまえば後々の面倒がなくて結構です」
「あんたが協力する目的はイオンじゃなくてレプリカルークの方でしょ」
ルークが産まれたフォミクリー装置の前にいるのは鳥をイメージした仮面を被った緑色の髪の六神将、烈風のシンク。もう一人は白髪の浮いてる椅子に座っている六神将、死神ディストである。
「どちらでもいいでしょう。導師イオンを捕えさえすればいいんですから。レプリカルークの事はアッシュから頼まれた事とはいえ、私も興味がありますからね。こんな機会は滅多にありませんよ!!」
「アンタのやることなんて興味ないよ」



「いや、聞かせてくれよ。俺をどうしようとしてたのかをな」
「そうそう、あの煙デコは何を企んでるんだってばよ」
「「!?」」
二人以外に誰もいない空間に突如背後からいきなり声が聞こえてきた。その事に驚いた二人が後ろを瞬時に振り返るとディストの背後にルークが、シンクの背後にナルトが立っていた。





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