焔と渦巻く忍法帖 第八話

「え・・・?」
「ナルト、お前はどうする?」
「俺もルークと同じで行かないってばよ」
「よーし、んじゃ俺ら二人は行かないで決定な」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
さっさと話が進みそうになっていたのを修頭胸が制止をかける。
「あなた達話を聞いてたの!?人質の人は預言に厄は取り除かれると詠まれていたのよ!そんな人を見殺しにするつもりなの!?」
いい加減うんざりしてくる、そう思ったルークはナルトにさっと目線を送り、修頭胸と向き合うと苛立ちながら口を開いた。
「預言には厄は取り除かれるって詠まれてんだろ?現に師匠がコーラル城とかいうところに行ってんだ。対策は充分にとっただろ。何で俺らが行かなきゃなんねーんだよ」
「兄は信用出来ないからよ!」
「なら何で師匠が行くって言った時にお前も行くって言わなかったんだ?信用が無いならお前も付いて行くって言えばよかっただろうが。何を今更言ってんだよ」
「待って下さいルーク!!助けに行くと言ったのは僕です!!ティアは悪くありません!!」
するとイオンが反論出来ず、口篭る修頭胸をかばってきた。しかし自分の発言と行動の意味がわかっていない導師の言葉にルークは怒の感情を込めた辛辣な一言を放った。



「イオン、いやお前もティアもアニスも預言の事が無かったら隊長とやらを見捨ててたっていう事実を忘れてねぇか?」



「ちょ、ちょっとルーク様ぁ。どういう事ですかぁ・・・?」
声は今まで通りに猫撫で声ながらも、ルークの発言に声が震えているコウモリ娘(スパイなんてやってんだからこんな呼び名で十分だろbyルーク)。
「だってそうだろ。今この二人が預言の事を口に出すまでお前ら自ら助けに行かなくていいって態度でいたんだぜ?師匠が行くって言った時、意見を出さなかったんだから師匠に任せるって黙認したという事とおんなじ意味だろ。イオンは最初助けに行くって言ったけどそれも論外。俺の話一つでイオンは意見を変えただろ?結局師匠に任せるって事をイオンは黙認したんだよ。それが預言の事を盾に出されたら掌返して助けに行く?」



「預言は命より重いってのがお前らの認識で、預言に詠まれてなかったら平気で命を見捨てるってお前ら自供してるようなもんだろ」



そのルークの一言にダアト所属の三人が一斉に下を向いて押し黙る。自らの発言の意味にようやく気付いたようだ。
「命の価値は預言によって決まるのはお前らからすれば当然なんだろ。だから行きたきゃ行けばいいじゃん。早く行かないと預言が外れるかもな」
若干愉快そうな声で話すルーク。へこんでいる三人を見て気分が持ちなおってきたようだ。
「ガイにジェイド、お前らは付いていってやれよ。ガイは調べたい事があるんだろう?ジェイドはどっちでもいいって言ってっけど、お前も付いていけよ。アッシュからイオンを守ってやれば?」
ついでにフェミ男スパッツと眼鏡狸にもイオン達に同行を申し渡す。
「今更言い訳は聞かねーぞ。行くって言ったのはお前らで、行かないって言ったのは俺ら・・・ジェイドだけはまだ選択肢が残ってっけど、俺はイオン達と行く事を勧めるぞ。だってこの様子じゃアッシュが何仕掛けてっか分かんねーからな」
さりげなく言葉に‘危険な所に行くのは馬鹿がすること、誰かお守り役が必要だろ’という含みを入れるルーク。
「・・・分かりました。私も付いていきましょう」
すると含みに感付いたのか知らないが、眼鏡狸はあっさりとイオン達に付いていくと言い出した。
「なら俺らはカイツールで待ってんな~」
一先ずの返事を聞いたルーク達はさっさとその場を去っていった。



港から離れてすぐしたところで、ルーク達は自らの影分身をいきなり一体ずつ作り出した。
「カイツールに行く方の影分身はこれでいいな」
「目指すはコーラル城だってばよ」
散々行かないと言ったコーラル城に今から行くという、その理由は・・・
「なんだかんだ言っても煙デコの暴走で殺されたら俺の責任になるしな」
預言だから助けるとかではなく、自らの責任。自分のせいで人が死んだというのは避けたかったルークは自らの手で助けに行こうと考えていた。
「んじゃ行くってばよ」
「おう」
そのやりとりを終えた二人はコーラル城がある方角へと一直線に向かっていった。




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