焔と渦巻く忍法帖 第八話

(まぁ、無理もないってばよ。ここまで煙デコが馬鹿だとは俺も思わなかったんだし)
ナルトも分からないでもない。まさか自らのオリジナルがこんな暴挙の馬鹿としか言いようのない行動を起こしているのだから。



「さぁ、師匠、イオン。ダアトはどんな対応をとるんだ?余程の処置が無ければここで殺された兵士達の命は浮かばれないぞ?」
尚も静かな怒りを沸々とルークは二人にぶつけていく。
「・・・分かったルーク。私はアッシュ討伐に行く。場所はコーラル城と指定されてきた。ルーク達は連絡船の帰還を待ちなさい」
その静かな怒りをいつまでも受けるのは居心地が悪いと思ったのか、老け髭は逃げるようにその場を去って行った。
「さ、イオン。イオンはどうしてくれるんだ?」
顔は笑っているが、目が笑っていない。その事がイオンにとって恐怖となっていた。
「・・・分かりました。アッシュは教団から除名処分、ダアトはキムラスカに軍港復興資金と港にいた兵士の家族への慰謝料をお渡しするようにします」
迫力に負けたというのが大半の理由でもあるが、アッシュのやった事は許されない事でもあるので、イオンはこれが妥当であろう条件をルークに提示した。
「あー、それにもうひとついいか?アッシュの処分はキムラスカとマルクトで決める、ダアトは絶対に口を挟まないって事を追加な。身内絡むと温情かけたくなるのが人情だし、俺は公平に裁きたいし」
「・・・はい、分かりました」
苦い顔をしてイオンは了承の意をルークに返す。しかしここまで徹底した煙デコへの攻めっぷり、ルークは余程煙デコが嫌いなんだろうとナルトは感じていた。
(まぁ俺も好きにはなれないってば、あんなサスケもどき)



「さーて、処分も決まったし国境に俺らは戻るか。この惨状を片付けんのに俺らは邪魔だろうし」
「ちょっと待って下さいルーク。僕らもコーラル城に行くべきでは・・・?」
「あぁ?何で犯罪者の言いなりになんなきゃいけねぇんだよ。それに師匠が行ってんだ。俺らが絶対行かなきゃいけねぇ理由なんてあんのか?」
「それは・・・」
「理由がねぇなら行くなんて言うな。危険なだけだろ・・・国境に戻るぞ」
「・・・はい」
何故戦えないイオンが自ら危機に飛込もうとするのだろうか?自らの発言は虎口に周りの人間を巻き込んで飛込ませるだけ、それが分からないのかという怒の感情がルークの中に起こっていた。



「お待ち下さい、導師イオン!」
港の入口に差し掛かったところで、作業着を着た二人組がルーク達の前に現れた。
話を聞くに、さらわれた隊長とやらはその二人の上司のようで、無事に隊長を救って欲しいという理由から、イオンに嘆願をしにきたらしい。そこまではルークとナルトも大して気にしていなかったが、二人が隊長とやらが預言を守るローレライ教の信者という言葉を耳にした瞬間、ダアト所属の人間達がピクッと反応したのを目撃した。
(・・・おいおい、まさかこの流れ・・・)
「お願いします!どうか・・・!」
整備士の放つ沈痛な声、それに呼応したかのようにイオンが口を開いた。
「・・・分かりました」
(あ~、やっぱりだよ)
呆れに加え、予想出来た答え。
「私もイオン様の考えに賛同します。厄は取り除かれると預言を受けたものを見殺しにしたら預言を無視することになります。それではユリア様の教えに反してしまうので・・・」
「私もコーラル城に行った方がいいと思うなぁ」
するとダアト所属の二人が直ぐ様イオンの意見に賛成をした。
「コーラル城に行くなら俺もちょっと調べたい事がある。ついていくわ」
更にはフェミ男スパッツがそれに乗っかるように行動を共にと言ってきた。
「確かに預言は守られるべきですがねぇ・・・」
ただ一人、賛同はしていない眼鏡狸。しかしこの狸の言葉をあてにはしていない。
「ルークさんとナルトさんも行くですの?」
すると足元のミュウがこちらに確認をとってきた。
「・・・ジェイド、あんたは行くのか?行かないのか?」
「私?私はどっちでもいいんですよ」



「あっそっ。俺は行かねぇぞ」




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