焔と渦巻く忍法帖 第一話

「結論から言うけど俺は本物のルーク・フォン・ファブレじゃない」
「・・・偽者、ってこと?」
「レプリカって知ってるか?」
「何それ?」
「本物をオリジナル、偽者をレプリカって言い方で言うけど、オリジナルから身体情報を抜き取るんだ。その情報を元にオリジナルそのままの人物を作り出す。そして出来上がったのがレプリカだ」
「じゃあルークはレプリカなの?」
「そういうこと」
「赤ん坊の振りをしていたのは何で?」
「・・・俺を創ったヤツを騙すため」
「誰?」
「さっき俺が独り言で呟いてた老け顔。本名はヴァン・グランツって言うんだけど」
「その老け顔をどうして騙したいの?」
この二人の間では実物を見ていないナルトでさえ愛称は『老け顔』で落ち着いた様だ。
「偽者の俺が此処にいるけど、本物の『ルーク』は何処にいると思う?」
「・・・本物を此処に置かずにルークを此処につれてくるくらいだから本物はその老け顔の所?」
「確認はしていないけど間違いなくそうだな。で、何で俺を創ったのか理由を考えてみた。そしたら俺を完成させた直後、老け顔と技術者らしいヤツが話していた会話を思い出したらある程度予測ができたんだ」
「どんな会話?」
「確か・・・」






「このレプリカは超振動は使えるのか?」
「ええ!!完全同位体ですから当然です!!しかしレプリカなのでオリジナル程の威力が出るかどうかは保証は出来ません」
「いや、充分だ。所詮これはきたるべき時の使い捨てなのだからな」
「そうですか、なら撤収しましょう。キムラスカ兵がそろそろ来るころです」






「・・・っていう会話。要点だけ抜粋したけどレプリカって本来赤ん坊同然の状態で産まれてくるっていうのも言ってたんだ。けど何かの異常かは知らないけど俺は普通に会話を聞ける程度には知能が産まれた直後からついていた。俺はそのことを聞いたから意識がないふりをして会話を聞いてたんだ。で、その場に一人残された俺はキムラスカ兵に連れられてこの屋敷に来たというわけ。屋敷に来た時に老け顔がいたから何も出来ない振りををしていたら記憶喪失で赤ん坊同然になったって勝手に周りを納得させたんだよ・・・で、老け顔の思惑が分かるまでは俺のことを知られたくないから馬鹿な振りをしてるんだ」
「どうしてフリをしてるのかは分かった。でも超振動って?」
「簡単に言えば破壊の力だ。本来は特定の条件が揃わないと出来ないらしいんだけど、公爵の部屋の本棚から『ルーク』に関する調査が書いてある本を盗み見たときに、『ルーク』が単体でも超振動を使える唯一の存在だって書いてあった。それでオリジナルの『ルーク』をさらってレプリカを創った理由がわかったんだ」
「・・・超振動を単体で起こせる存在を欲しいって思ったんだね。でもそんなに凄いものなの?超振動って」
「じゃあ見てみるか?」
そう言い先程の本を手にあててゆっくりとルークが集中すると本が瞬く間に消滅してしまった。
「・・・今のは抑えているけどこれを力を抑えずにやるとこの辺り一帯が下手すると消滅してしまう」
「抑えてこれか・・・欲しいっていうのも分かるね・・・」
「で、老け顔は俺を使い捨てと言ったから多分オリジナルの身代わりにして、『ルーク』が死んだと思わせたいんだろうな」
「でもきたるべき時って何時なのかな?」
「・・・多分秘密で『ルーク』が死ぬ預言が詠まれているって知ってるんだと思う。それで『ルーク』が死んだ後オリジナルを使って何かをするはずだ」



「預言って・・・何?」
「預言を知らない・・・?有り得ないぞ、それ」
「うん。だってこの世界の人じゃないもん。僕」
・・・・・・・・・
「はぁ!?何言ってんの!?ねぇ!?」
「信じられない?」
「信じられるか!!」
「じゃあ連れてってあげるよ!!あ、その前にルーク連れてった事がばれたらまずいから特製の影分身を置こう!!」
ボン!!という音がなった後その場にルークそっくりの影分身が姿を表した。
「身代わりよろしく!」
「まかせとけ!!」
「ちょっ・・・おい!」
「行くよ~、ルーク~」
言うが早いかナルトはササッと印を組みルークとともに光の中に消えていった。




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