焔と渦巻く忍法帖 第八話

アリエッタの事の話し合いも終わった為、イオン達の所に戻り影分身と入れ替わった二人。
フーブラス河を抜けカイツールまで一直線というところで、ルークはこれからの目的地に顔も思い出したくないおっさん面がいることを思い出していた。
「なあ、ガイ。俺らの旅券ってお前が持ってきてんの?」
一応の確認をフェミ男スパッツに取るルーク。
「いや、カイツールで合流するって事でヴァン謡将が持ってるぞ」
ある程度予想出来ていた返答に、「ふーん」と返しながらも内心鬱陶しいと思ったルーク。
(・・・だろうな。どっちにしてもカイツールを通んなきゃバチカルに戻れねぇんだし。ならカイツールで待つ方に旅券を預けるべき・・・だけどあんな老け髭の顔なんて長く見たくねんだよ。どうにかして引き離せねぇかな・・・?)
嫌いなものは嫌い、態度には微塵も出さないが嫌いな事には変わりない。ルークはどうやって別行動をとらせようかと色々考えながらカイツールへの道を歩いていた。



それからすぐにカイツールにたどりついたルーク達。そこでルークとナルトはまた上の方から、覚えのありすぎる殺気を感じていた。
(・・・ま~た来たよ、煙デコ)
(煙デコ?)
(ほら、よく言うだろ。何とかと煙は高いところが好きって。それにあのデコの出しかたはやりすぎだ)
(成程、確かにそのとおりだってばよ)
上に注意を払いながらも、横目で互いを見ながら会話を繰り広げるルークとナルト。
(この様子なら確実に俺に来るな)
(馬鹿だってばよ)
(馬鹿とハサミはつかいよう、精々利用させてもらうぜ。ナルト、煙デコが襲いかかってきた後の援護を頼む。どうせ老け髭もここにいるってわかってんだ。鬱憤を晴らしていくぞ)
(了解だってばよ)
ナルトの了承と同時に二人は目線を前に見据え、来るべき時を待つ体勢に入った。



そうして待とうと決めた矢先、マルクト兵にどうにか先に通してくれとクネクネした口調で頼んでいる(意識しすぎた色仕掛けは逆効果、気分を害するだけ byルーク)アニスを発見した。
(色仕掛けが通用するのは逆に駄目だろ、マルクト兵の断わるって態度の方が普通なんだよ)
続けてそのやりとりを見ていると、やはり色仕掛けは通用しなかったらしく、こちら側に歩きながら捨てぜりふの「月夜ばかりと思うなよ」という言葉を吐いた。
(頭下げられたから通すなんてのは兵として失格なんだよ。ここは国境なんだから許可がねぇと通行は駄目だって知ってるだろ。そういう‘常識’をマルクト兵につきつけられてんのに、要求が通らなかったからって恨み言を本人に聴こえる音量で言うのは常識がないどころじゃねぇ、子供以下だろ。兵士なら最低限の常識は叩き込まれる筈なのにそれすら理解してねぇ)
ツッコミポイントがありすぎる。そうルークが思っていると、イオンが放った言葉でルーク達がカイツールに来たとアニスが理解した瞬間、先程までの不機嫌な顔を消してまたクネクネした雰囲気を作り出し、ルークに抱擁という名の体当たりをしてきた。
(悪いけど・・・いや、こんなのに悪いなんて気持ち全く起きねぇ・・・受け流すか)
するとルークは「おわっ!?」っと表面上間抜けな声を出し、体当たりを避けてかわした。勢い余ったアニスの体当たりはルークの後ろに陣取っていた・・・
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
フェミ男スパッツが受けてしまった。
抱きついたアニスはいきなり叫ばれ、勢いよくフェミ男スパッツから身を剥がした。抱きつかれたフェミ男スパッツはガタガタと震えている。
(悪目立ちすっから早く立ち直れよ、二人とも)
原因を作ったルークは我関せずと、しれっとした態度でその様子を傍観していた(ナルトはいい気味だとルーク以上に面白がってそれを見ていた)。





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