焔と渦巻く忍法帖 第八話

セントビナーで一泊した後、カイツールにようやく向かう事になったルーク達。現在ルーク達はアクゼリュスへの道からカイツールへ向かう事が出来ないので、フーブラス河を抜けるルートを通っていた。



フーブラス河の入口から少し進んだところで、最後尾を歩いていたルークとナルトは自分達に近付いてきている気配について話し合っていた。
(この気配は・・・追跡者だと思うけど・・・ちょっと気になるんだよな~)
(確かに気になるってばよ。あんな態度されたら話を聞かないと心残りになって眠れないってばよ)
(そんなタマじゃねぇだろ、ナルトは)
(茶化すのは別として・・・気になるなら聞きに行くってば?)
(ま、そうするか。こいつらと顔会わせてるより余程建設的だ)
(違いないってばよ)
会話を終えた二人は影分身を残して、追跡者の元へと向かっていった。



追跡者はライガに乗った桃色の髪の少女、アリエッタ。アリエッタがフーブラス河の入口に差し掛かっている時に二人はアリエッタの姿を確認し、話をしようとスピードを落として彼女の前に姿を表した。
「「よっ!!」」
「きゃっ!!」
いきなり現れたルークとナルトにライガがスピードを落としきれず、急ブレーキを踏み、アリエッタがその勢いに戸惑って少し悲鳴を上げた。
しかし、彼女も六神将。すぐにルーク達の姿を見て、戸惑いの表情を消した。代わりに二人を確認したアリエッタは、ライガから降りてもじもじしながらルーク達に上目遣いで質問を投げ掛けてきた。
「あ、あの・・・聞きたい事が、あるです」
二人はアリエッタの兵士としては純粋で、たどたどしい態度に何か憎めないものを感じていた。それもあり、ルーク達はアリエッタの質問に快く答えようと思っていた。
「質問?何だってばよ」



「どうして二人からママの臭いがした、ですか?」



「ママ?・・・俺ら誰か女の人と関わったっけ?」
「特に関わってない筈だってばよ」
強いてあげるならば、修頭胸とアニス。しかしいくらなんでもアリエッタの母親というには無理がある。
いくら考えても分からないとルーク達が首を傾げていると、アリエッタの口から答えに繋がる単語が出てきた。
「チーグルの森にママ、いたです。二人はどうしてママの臭いがした、ですか?」
チーグルの森、その単語でルーク達は記憶の中を辿っていく。臭い、女、そしてアリエッタが乗ってきたライガ。その事実を繋ぎあわせ、まさかとルークとナルトの二人は声を揃えた。
「「もしかしてクイーンの事か(ってば)?」」
その声にアリエッタはコクリと頷き、事実なのだと驚愕するルーク達。
「聞いた事しかないけど・・・似たような話、あったよな」
「確かあれは狼が人間の子供を育ててたって言ってたってばよ」
それもアリエッタを見れば納得出来た。流石に魔物を意図的に使役出来る人間は『こちら』にはいないだろう。普通の人は言葉を理解することが出来ないのだから。



「そういえばセントビナーで言ってたんだよな、ママが殺されたって」
「あれってルークの幻術にかかったライガが誤ってアリエッタに報告したんだってばよ」
「あー、そうかもな」
二人が話している内容についていけないアリエッタ。首を傾げて眉を寄せながら聞いているアリエッタに気付いた二人。
「わりぃ、アリエッタ。何の事か分からなかっただろ?今からキチンと説明すっから」
ルークがそう言うと、二人はチーグルの森での経緯をアリエッタに話だした。




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