焔と渦巻く忍法帖 第七話

(リグレットにアリエッタにラルゴ・・・それにもう一人仮面を被った緑の髪の少年、か。あれも六神将だろうな。リグレットと対等に話してる)
六神将の様子を見ながら色々考えているルーク。そこでルークはイオン達の後ろに下がり、一般住民に似せた影分身を作って六神将に近付けて、会話を聞かせようとしていた。
(俺もやるってばよ)
するとナルトもルークの動きに呼応し、自ら作った影分身をルークの影分身のお供につけた。






その後神託の盾兵は仮面をつけた少年、烈風のシンクとやらの指示でセントビナーから撤退することとなった。余談だが途中から会話に入って来たディストとやらを見たナルトは「いいおもちゃだってばよ」と嬉しそうに呟いていた(もちろんそれを聞いたのはルークだけ)。

神託の盾兵が撤退した事で目的地のカイツールに向かえるかと思ったルーク達だったが、イオンの体調不良が再発したため、宿屋で一泊することとなった。



宿の部屋を取った後、二人はセントビナーの観光と称してイオン達から離れて行動していた。今現在二人はこの街の名物であるソイルの木の上で気兼なく声を出して話し合っていた。
「あのシンクって奴・・・イオンと気配の質が一緒だったな」
「あの二人はやっぱり・・・」
「間違いなく・・・」



「「レプリカだ(ってばよ)」」



期せずして声が揃った二人、その根拠を尚語る。
「イオンがダアト式譜術を使ったら体力をやけに失ってしまうのもレプリカの劣化現象から来るもんなるだろうな。じゃなきゃ異常だ、あれは」
「二人は身長もおんなじで、声もシンクはやけに刺々しい口調だけど質自体は同じだったってばよ」
影分身を近くまで近寄らせた時に感じたもの、それはシンクという少年にイオンとのたくさんの共通点があるという物だった。
「オリジナルの導師イオンは公に表舞台に出ることは出来ないんだろうな。『とある事情』で」
「『とある事情』があったからレプリカのイオンを作ったんだってばよ。じゃなきゃレプリカを作らないってばよ」
二人の言う『とある事情』。それは宗教団体によくみられる現象、隠蔽。全ての宗教団体がそうと言うわけではないが、都合の悪い出来事は明るみに出ないようにと隠蔽することが多い。ましてや団体のトップである導師に何かがあったとなれば、心のよりどころが無くなってしまう。そこで代理のレプリカに『イオン』を努めてもらおうと考えたのだろう。
「完璧にオリジナルのイオンは死んでるな」
「二人作ったって事は今のイオンがシンクよりオリジナルに能力が近いんだってばよ」
二人の読み、それはオリジナルは病気などで公に出れないのではなく、既に死亡しているというものだ。レプリカをオリジナルが表舞台に出れるようにするための時間稼ぎの影武者で使うと言うなら、わざわざ二人以上作る必要はない。あくまで代理なのだから一人いれば充分だ。しかし二人いるという事がその事実を裏付けていた。それでイオンはシンクよりオリジナルの能力にに近かった為、今の『導師イオン』という場所にいれるのだろう。
「ひとつダアトを追い込む要素が出来たな」
『イオン』が入れ替わったなどと周りが気付かない訳がないだろう。禁忌のレプリカ技術を黙認している以上、ダアトにつけこめる材料が増えたとルークは確信した。



そこでナルトは現状を更に自分達の思惑通りに進ませる為に、ある提案を思い付き、ルークと勢いよく顔を突き合わせた。
「どうせだからあのシンクって奴を俺達に協力させるってばよ」
「・・・いいな、それ」
二人の手札としてシンクを引き込む、そうすればもっと効率よくダアトを潰せる筈だ。そう思ったルークはナルトの提案にすぐに肯定の意を示した。
「カイツールで待ち受けるとか言ってたから遠くない内に会えるってばよ」
「待ち遠しいな~♪」
段々と整いつつある二人の世界改革劇場の幕、新たな役者を自らの目で見つけた二人は生き生きとした表情で早くスカウトの日が来いと望んでいた。




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