焔と渦巻く忍法帖 第七話

黒い企みを二人が話している内に、馬車は無事に神託の盾兵の横を何事もなく通ることが出来ていた。

その後、ローズ夫人に馬車に乗せてもらった礼を言いローズ夫人と分かれていった。その後、眼鏡狸の話ではマルクト軍のベースでアニスと落ち合う予定とのことで、ルーク達はベースの中へと入っていった。

そこでルークとナルトは凄まじく衝撃的な物を目撃していた。



「「すげぇ髭だ(ってばよ)・・・!!」」
二人の見たもの、それは足元にまで届かんとしている長さと、胴体全てをほぼ隠している質量を合わせ持った見事としか言いようがない白髭だった。この白髭の持ち主は眼鏡狸の面会目的のグレン・マクガヴァン将軍の親、かつて元帥と呼ばれたマクガヴァンという老人だ。
あまりの見事さに先程までの不機嫌さが嘘のように吹き飛んで行った二人。そっと呟いた声が喜びに震えていたという事は呟いた本人達にしか気付かれていない。



しかし二人はマクガヴァン老と眼鏡狸の会話でまた機嫌ががたおちになった。
(眼鏡狸の不遜な態度って皇帝の幼馴染みって所から来てんな、間違いなく)
ベースに入る時、軍の代表であるグレン将軍は来客中だと入口にいた兵が言っていたにも関わらず、眼鏡狸は全く構わずその場に入っていった。一刻も早くというのは分かるが、本来の目的を忘れ雑談を客と交している。現にグレン将軍も雑談をしにきただけなのかと、わざとらしく咳払いをして眼鏡狸に用件を促していた。これでは主の面子がたたないだろう。たとえ話しかけられても雑談は用事をすませてから、そう断るのがマナーだというのに。
(更には今の若さで大将になれるって言われてんだろ?能力と皇帝の幼馴染みって強力な二つの武器があるから不遜な態度が自然と身についたんたろうな)
なまじ才能と高い身分に恵まれているだけについてくる自惚れ、それが通用するのはマルクト内だけだと気付けていないのがいい証拠だ。
(馬鹿だよな、頭いいのに)
勿体ねー、単純にルーク達はそう思った。



その後アニスの残していった置き手紙からセントビナー封鎖の前にカイツールに向かうとの事が書いてあり、カイツールに向かう事になった。
そんな中、マルクト軍のベースから退出しながらルークとナルトは手紙の事で話し合っていた。
(1、破る。2、燃やす。3、消滅させる。どれを選ぶ?)
(4の1から3まで順にやる、だってばよ)
アニスからの置き手紙は軍人が書くような内容ではなく、年頃の娘が書くような文章だった。その中身を読んだ(ナルトは聞いた)二人は非常にイライラしてしまい、この気持ちどうしてくれようと思った二人は手紙を眼鏡狸から譲り受け、どう手紙を処分するか考えていた。
(軍人って自覚持てよ、つーかあの文章聞いてそう思った奴らって俺たちだけなのが尚イライラする)
(特にイオンと修頭胸はダアトの恥だって憤慨する所だってばよ。あんなクネクネした文章、マルクトやキムラスカの関係者に見られたら恥どころか汚点だって怒るべきだってばよ)
何も自分の気持ちを吐露した文章を報告書に書く必要はない。どうしても伝えたいというなら報告書とは別のちゃんとした手紙を置けばいい、そうすれば純粋にアニスに好意を持てたかもしれないのに(中身があの文章なので、絶対ルークの心は動かないが)。
公私混同という言葉がこれほど似合うのも珍しい。ここまで来ればダアトの教育がずさんすぎると見られてもおかしくない・・・普通ならば。
(歪んでんな~、世界の規律ってヤツが。・・・んなことより処分は後でいいよな?)
(分かってるってばよ)
ナルトからの了承を取ったルークは無造作に手紙をポケットの中に押し込んだ。



「・・・あれは・・・神託の盾六神将?」
一刻も早く、カイツールに向かおうとセントビナーの入口に向かったルーク達。すると入口に六神将がいるのをルークとナルトは遠目から確認し、注意を促す。周りのメンバーもその声に六神将から見られない位置へと陣取った。





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