焔と渦巻く忍法帖 第七話

その後野営をして一夜を過ごし、アニスとの合流の為にセントビナーへと引き続き向かったルーク一行。

セントビナーにたどり着くと、神託の盾兵によりセントビナーの包囲がなされていた。

そんな中、ルークとナルトは有り得ない状況に段々いらついてきていた。



(神託の盾兵がマルクトの街を包囲していいのか?預言を詠むからダアトとはいさかいを起こしちゃいけないって理由だけでこんな暴挙許すのは事実上ダアトがこの世界で一番偉いんですって認めてるようなもんだろ)
(検問の神託の盾兵に疑問を抱く事なくエンゲーブの人が対応してるのがいい証拠だってばよ)
ルーク達は現在エンゲーブで会ったローズ夫人が乗ってきた馬車に隠れる様に乗っていた。エンゲーブで取れた食糧をセントビナーに運んで来たようで、その馬車に頼んで乗せてもらったのだ。
ルークとナルトは少し狭い馬車の中、顔を見合わせる形で密着しながら話し合っていた。
(ムカつくよな?自分が偉い訳じゃないのに上の威光を自らの力なんて思う奴ら)
(・・・どうせだからダアト潰してから帰らないってば?)
(・・・ただ潰すだけじゃ無理なんだよなー。ダアトの存在意義の預言が詠めねぇようにしねぇとまた蘇るぞ。宗教団体なんてのは心のよりどころがあればいくらでも元の形以上に復活するし)
(どんな形でも絶対復活しない形で潰してやるってばよ・・・ルーク、潰さず帰るなんて言ったらルークを潰すってばよ)
(心配すんな。老け髭筆頭に馬鹿が集まるような団体俺も潰してしまいたいんだよ。ナルトがやんなくても俺一人でもやるし)
ルークとナルトは誰かを気に入らないという事は滅多にない。しかしこの旅で久しぶりに二人の琴線に触れる人物が山のように現れてしまった。計画を潰すだけでは二人の気持ちに収まりがつかなくなってきたようだ。
(どうやって潰そうかな~。ワクワクするってばよ♪)
ナルトが口許で楽しそうに笑っている。その笑顔はイタズラを考えているときそのままだが、内容はイタズラと言えるようなかわいい物ではない。
(シカマル連れてくれば良かったかな、何百通りもえげつない方法だけ考えさせて)
相対しているルークも乗り気だ。普段はナルトのやることを傍観するか、終わってからその後始末をするだけなのだが(止める気はさらさらない。被害が自分にまで飛び火するため)。それだけルークも神託の盾兵の愚挙が気に入らなかったのが分かる。
(ま、潰す事は決定したから後で方法は幾等でも考えるか。シカマル連れて来る訳にもいかないし)
(そうするってばよ)
事実上の死刑宣告が下された。二人が潰してきた敵対勢力の数は大小問わずに五十を越えている。あらゆる手段を辞さない二人のやり方は忍の中でも恐怖の対象となっている。



ダアトの危機が迫っている事を関係者は気付く事なく、緩やかに馬車はセントビナーの中へと入っていった。




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