焔と渦巻く忍法帖 第七話

「ガイは男色主義者で女は受け付けねぇんだよ」
一歩歩みでてフェミ男スパッツのフォロー(という名の攻撃)をするルーク。その言葉に一人を除いて完璧に動きがフリーズしてしまった。もちろんフリーズしていない一人は、
「だんしょくしゅぎしゃ?何の事だってば?」
言わずと知れたナルトである。フェミ男スパッツの実情をナルトはちゃんと心得ているが、ナルトからすればイタズラ(という名の拷問)なので、そんなことは知ったことではない。
そうと悟らせる事なく、あくまで純粋無垢な子供の目でナルトはルークに疑問を投げ掛けた。
「男しか愛せねぇ男って意味だよ。現にティアが近付いたら後ろに小ジャンプしただろ?あれは女は汚らわしいから近付くなって意味だよ」
懇切丁寧にナルトに教える(ように見せてる)ルーク。
「ウゲッ、きついってばよ・・・」
その教えに呼応してフェミ男スパッツから少し、というよりも大袈裟に離れて気持ち悪がる(フリをする)ナルト。二人のやりとりを見たイオン達も心なし引いているのは明らかに分かる。一瞬でイメージが定着するほどに二人の言葉は絶大だったようだ。
「ちょっと待て、ルーク!!俺は女は嫌いじゃない、寧ろ大好きだ!!」
流石に自分の認識が同姓愛者だと思われるのは嫌だったのだろう、フリーズから立ち直り慌てて反論に出てきた。
(そうでる事も折り込み済みだ・・・次の言葉でお前は嫌でも否定出来なくなるぜ)
ニヤリと口許だけで笑い、フェミ男スパッツにとって戦慄の事実をルークは次の一言で放った。



「だってお前時々俺の部屋に入ってきて寝てる俺を血走った目で見てたよな?」



その言葉に魂を消し飛ばす程驚くフェミ男スパッツ、しかし次にルークは敢えて逃げ場を用意した言葉を放った。
「部屋に忍び込んできて俺の服に手をかけて脱がそうとした時があるだろ。あの時起きてたんだぞ。もしあのまま脱がしてたら大声で叫ぶ予定だったんだぞ」
勘違い、そう解釈したのかと少し表情が和らいだフェミ男スパッツ。しかしルークは敢えて逃げ場を作ったという事を忘れてはいけない。
「じゃあルークは襲われかけたってば!?」
「ああ、そういうこと」
ルークの一言でより一層イオン達がフェミ男スパッツの周りからザザッと身を引いた。そう、ルークは逃げ場へと誘導していたのだ。落とし穴に落ちることしか出来ない場所へと・・・



もしここで「違う、俺はそんなつもりで入ったんじゃない!!」とでも言えば、ルークは「じゃあどういうつもりで入ったんだ?」と言う気で満々だった。しかし当のフェミ男スパッツは沈黙してしまい、何も喋らなくなってしまった。沈黙は肯定、否定していないという事と同意義なのに。



(ま、流石に殺すつもりで入ったんです、って言える訳無いよな。言ってたらこいつを殺してもいい理由が出来た所だし)
ここまで来れば反論すればするほどに立場を危うくすることに気付いたようだ。ルークに殺意を持つ理由は分からないが、屋敷に来てからかなり未遂事件が多発している。その執念をこんな所で絶やす訳にはいかないのだろうと。しかし、
(ホモ決定!!おめでとうございまーす!!)
見返りは男色主義者というありもしない事実をルークに暴露(大分脚色ずみ)される現実。
(バレてないなんて思ってるからだよ。それと自分の体質を呪え)
自分の見識の甘さ、更には否定しようもない体質を持っていることが致命的だった。女性が苦手というよりも女性恐怖性そのものの体質がなければ少なくともホモと見られるような罰は来なかっただろう。
(礼儀知らずには罰を、当然だろ)
手段はどうあれ、精神ダメージを負わせる事に成功した二人。フェミ男スパッツはもちろんのこと、修頭胸達もホモ疑惑で気分を害したようだ。
(ざまぁみやがれ)
悪魔のコンビネーションここに極まれり、フェミ男スパッツは晴れて男色主義者の称号を手に入れた。




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