焔と渦巻く忍法帖 第七話

ルーク達が後ろで会話をしていると、一行の中心にいたイオンが突然たちくらみを起こしたようにその場に両膝をついてしまった。
「イオン様。タルタロスでダアト式譜術を使いましたね」
「ダアト式譜術?なんだそれ」
初めて聞く単語に素直に疑問を抱くルーク。
「ダアト式譜術は歴代の導師だけが使える譜術なんです。ですが僕の体はダアト式譜術を使うように出来ていなくて・・・」
苦しそうな表情でルークの質問に答えるイオン。そのイオンの言葉にルークはある引っ掛かりを感じていた。
(『自分の体はダアト式譜術を使うように出来ていない』?言葉の使い方間違えてんじゃねーのか?『生まれつき体が弱くてダアト式譜術の威力に体がついていかない』ってのが正しいと思うけど・・・でも導師にしか使えないような特別な術なら体に負担なんて普通は有り得ねーんじゃねーかな?イオンの言い方だと血継限界みたいなもんで他人には使えないような術なんだし。イオンに『だけ』両刃の剣な術なんておかしいだろ。歴代導師はダアト式譜術を使って来たんだろうし)
分かんねー、推測を頭の中でいくら張り巡らせてもルークの結論は出てくることはなかった。






その後イオンの体調を気遣い一時休憩という事になり、その時間を利用して現状整理の時間となった。

しかしルークとナルトはまた追加してきた非常識人の男に少し辟易としていた。



(導師イオンに対してもタメグチ、更には公の場じゃないにしろ普通に人前で俺とタメグチで話す、このフェミ男スパッツはどうしようもねぇな)
(だってフェミ男スパッツだし仕方ないってばよ)
新たなガイのあだ名がナチュラルにフェミ男スパッツになっていることに、ナルトは突っ込みを入れることなく口パクで普通に会話を繋げている。
(罰が必要だよな、ナルト?)
(もちろん、必要だってばよ)
ニシシッ、と下忍の時のナルトよりも遥かに悪魔を思わせる笑顔でルークに返事を返す。
「ところであなたは?」
悪巧みの打ち合わせが終わると同時に話も一通り終わりイオンがフェミ男スパッツに質問を繰り出した。
「そういや自己紹介がまだだったな。俺はガイ。ファブレ公爵のところでお世話になっている使用人だ」
(使用人の身分で導師イオンに偉そうな事が言えるか?・・・お仕置きランクアップ決定)
ルークが心の中で罪状を追加していると、周りの修頭胸や眼鏡狸はそれを気にした様子でもない。
(イオンは性格上、無礼な事は普通に許すとは思うけど、軍人二人。てめぇらは注意しねぇのか?使用人風情がイオンにタメグチ聞いてんのに。特に修頭胸、俺やナルトのタメグチは許せなくてフェミ男スパッツは許すってのか?普通逆だろ。身分的には俺はイオンと対等に喋れんのに)
やっぱこいつらもお仕置き決定、ルークの裁きに結局全員に罰が下る事になった。
フェミ男スパッツの言葉でイオンがフェミ男スパッツと握手を交し、次は眼鏡狸と握手を交す。次は修頭胸の番、というところでフェミ男スパッツは突然近付いてきた修頭胸から後ろに飛び退いてしまった。一体何事かといぶかしげにもう一歩修頭胸が近付くと、フェミ男スパッツはまた後ろへと飛び退いてしまった。
(そろそろ行くぞ~、ナルト)
(了解だってばよ)
顔を見合わせ悪魔のコンビネーションの最終確認をする二人、まずは俺が先にとルークが前に出た。




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