焔と渦巻く忍法帖 第七話

アリエッタがタルタロスの中に戻り、一段落ついたルーク達。そこで今後の方針を話し合うと、アニスとの合流のためセントビナーへと向かう事になった。



(追手・・・来てるってばよ)
(ああ・・・)
ガイが来たので、前線は彼に任せようと後列を歩いているルークとナルト。二人はタルタロスから来たらしい神託の盾兵の小隊の存在について話あっていた。
(三人・・・これくらいの兵でやってくるなんて馬鹿だってばよ)
(下っ端だけってなめてんな。もしかしたら物見目的の兵かもしれねぇけど)
(どっちでもいいってばよ。けど見つかると面倒だから片付けた方がいいってばよ)
(ま、そうだな。いちいち手加減して戦うのはチマチマしてていらつくだけだし。どうする?二人で行くか?)
(俺一人で行くってばよ)
(なら任せる)
会話を終えるとナルトはすばやく姿を消し、代わりにナルトの影分身がルークの隣へと何事もなかったかの様に移動してきた。
(幸運だな、今からナルトに会うやつら)
恐怖や苦痛に死んだって実感が無いまま死ねんだから、ルークは心の中で神託の盾兵に合掌をした。



(・・・この様子じゃ物見目的じゃないってばよ)
神託の盾兵の小隊に近付き、様子を近くから潜んで見てみると明らかに殺気だっているその姿にナルトは身のほどしらずにも程があると思っていた。
(中途半端に痛い目をみる前に・・・)
「俺が殺してあげるってばよ」
ナルトがその顔から感情を削ぎおとして呟くと同時に、神託の盾兵の背後に閃光が走った。見るものが見ていればただそうとしか見えなかっただろう。神託の盾兵の後ろを過ぎた瞬間、閃光がスピードを落とし、神託の盾兵の前にその姿を見せた。言わずとしれたナルトである。



いきなりナルトが目の前に現れたにも関わらず、ボーッとつっ立ったままで何もしようとしない神託の盾兵達・・・いや、違う。もう動けなくなっているだけ、既に死んでいるのだ。閃光を思わせるような動きの最中、ナルトはクナイで首をはねていった。今も首はついているように見えるが、あまりのスピードで切った為、巧く落としたダルマおとしみたいに切られた際に生ずるズレがない為である。
「火遁・炎獄棺!!」
最後の仕上げに印を結んで既に死体へと化した神託の盾兵達に忍術を使うナルト。すると炎が兵達の周りに現れ、瞬く間に兵達を包みこんでしまった。
数秒もすると、炎はその場から綺麗さっぱりと神託の盾兵達と共に消えてしまっていた。
「後始末完了」
任務の際は必ず死体の始末をナルト達は行っている。死体の痕から情報を悟られないようにするため、常に証拠を消し去ってきた。ナルトは神託の盾兵の死体を残し、自分達の追跡の為の目印にならないようにと死体を焼いて消滅させたのだ。
神託の盾兵を片付けたナルトは無言でその場から立ち去っていった。






(ただいま~)
(おかえり~)
影分身と入れ替わり、普通に会話をするナルト。
(心配したってば?)
(しねーよ。ナルトなんだし)
(どういう意味だってばよ)
(そのまんま)
内容を聞けば彼女が彼に無神経だと言うような場面ではあるが、二人は冗談でしか話をしていない。
(あんな下っ端じゃルークも心配してくれないってばよ)
(当たり前だ、ナルトが苦戦するようなヤツなら俺も普通についていってる)
互いに知り合っている者同士、限界も知っている。それ故に二人は互いを信頼しあっている、だから二人は心配しあう必要がない、揺るぎない関係でいられるのだ。




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