焔と渦巻く忍法帖 第一話

光が収まり、ナルトがゆっくりと目を開けると先程自分がいた部屋から全く別の場所にいることが確認出来た。
「うわ~、これって街なのかな?」
ナルトの目の前に現れたのはクレーターの中に悠然と佇む街?
「行ってみればいいか!」
子供らしくキャッキャッっといった感じをだして喜んでいたが瞬きをするかしないかの一瞬でナルトはその場から消えていた。



ナルトは木の葉の里はおろか、自分が見てきた他国の里にもない建物やからくりの技術にただただ感動していた。



一通り街を見終わり、上に向かうと大きな城が目に飛込んできた。
「おっきぃ~!」
ナルトからすればこれほど立派な建物は見たことがない。素直に驚きを口に出していると、ふと近くにあるこれまた大きい屋敷に目がいってしまった。
「・・・どうせだからあの建物の中見てから帰ろ!」
子供ながらの気まぐれがでているが、そんな簡単に普通は入れる筈はない。事実門番がいることで一般人は入れないが・・・暗部最強と今の実年齢で恐れられる程の実力をもつナルトにとって、誰にもばれずに屋敷内潜入など朝飯前だ。






・・・結局中に忍び込んだナルトは気配を消しながらも屋敷の中を見学していた。

今ナルトはこの屋敷の一人息子の部屋の前に来ている。



見学の最中、夜になり多少暇を持て余したメイド達がある世間話をしていた。その内容によると一人息子のルークが誘拐されたこと、記憶喪失になって赤ん坊同然の状態で帰ってきてから一月程が経つことという話題で持ちきりになっていた。

といっても内容は『早く記憶を取り戻して欲しい』『以前のルーク様じゃない!』といったあまり主に対する態度では有り得ないものだった。中には『あんなのにつかえたくない!』と激情を露にするメイドもいた。



ナルトは話を聞き、あまり人事ではなく自分に似た何かをその一人息子に感じていた。

そのルークには『過去のルーク』しか見ない人しか周りにいない。ナルトには『九尾』を通してしかナルトを見れない人が周りに沢山いる。

そういった『本人』を見ようとしない者が周りにいる。自分と似ている・・・

「会ってみたい」

自然とナルトから言葉が溢れ落ちていた。



部屋の前に行くと部屋の中に殺気混じりの気配が一つと、恐らく寝ているだろう気配が一つ感じとれていた。

何事かと思い中に気配を消しながらも部屋に侵入すると、金髪の少年がナイフを手に寝ている朱色の髪の少年を見下ろしていた。

しかし、苦い顔をして少し悩んだ後金髪の少年は窓から出ていった。

(何か恨みをもっているっぽいな~?でも戸惑うようじゃ駄目だよ)

まだ子供とはいえ暗部に所属しているナルトには先程の少年のように、殺そうとするときに迷う事なんか有り得ない。

(多分あの人失敗・・・というよりも行動に移せないと思うな)

そんな事を考えているといきなり朱色の髪の少年が起き上がった。




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