焔と渦巻く忍法帖 第六話

あの後ナルトと修頭胸を起こし(ナルトは気絶したフリだが)、タルタロスの外に連れていかれたイオンの奪還をしなければいけない事になった。神託の盾兵によればイオンはタルタロスに再び連れて来られるという事で、そこを待ち伏せて救出という段取りを眼鏡狸が提案した。



(もう今更だけど俺らが協力するってのは決定事項なんだろうな)
(それを念頭におかなきゃこんな作戦発案しないってばよ)
船室から脱出し、眼鏡狸がタルタロスの機能を停止させた後左舷ハッチへと向かうことになった。二人の先頭を歩いているルーク達は今までの様に互いを横目で見ながら読唇術で会話をしている。
(和平の仲介役にイオンが必要なのは分かんだけど、どうしてこう協力するのが当たり前って表情をするんだろうな~)
(やっぱり他国の貴族なんて屁とも思ってないんだってばよ。拒否しても自分の口ならワガママ貴族のお坊っちゃんを協力させるように仕向けれるって自信持ってるっぽいし)
(あ、そう思うよな)
内心でケラケラと笑いながら、それをおくびにも出さず眼鏡狸を批判する二人。
(何も知らない馬鹿だって盲信してるとえらい目にあうぜ)
なぁ、カーティス大佐?無礼に対する仕返しは何時でも出来る、二人は含みを持った笑みでクスッと後ろに気付かれない程度に笑った。



ルーク達が左舷ハッチにたどり着くと、ちょうどイオンがタルタロスへとたどり着いた所だった。しかしそんなことはお構い無しに、ルークはイオンや信託の盾兵とは全く別の、よく知った気配が近くにいることを感じとっていた。
(なーんであいつが・・・たまたまか?それとも・・・)
この場にいる筈がない気配、その気配にルークはまた面倒くさそうな雰囲気を感じとっていた。しかし今はそれを考えても仕方がない、ルークは後でいいかと思い、真剣にイオン奪還に向き合った。






上官である女がハッチを開けと兵に命じ、兵がハッチを下ろして階段を登り扉を開いた・・・
「「オラァ!!」」
その瞬間、ルークとナルトが気合の声と同時に、二人いっぺんに兵士に体当たりをぶちかました。兵士はその体当たりで階段の下まで突き落とされ、落方が悪かったらしく身じろぎ一つ出来なくなってしまった。
(後は‘俺ら’らしくやるから頑張れよ)
二人のあの体当たりは確実に殺す為の布石だった。自分達が意図して倒したように見せない為、偶然死んだと思わせる為の布石として。最初の奇襲の役割は終えた二人は後の事は眼鏡狸達に任せようとしていた。



(役立たず・・・)
眼鏡狸が女の動きを封じ、武器を捨てさせた後修飾頭胸に譜歌を歌えと命じた。しかし修頭胸は「リグレット教官!!」と叫び、戸惑っているだけだった。その戸惑いの隙に、タルタロスの中から敵の魔物に後ろから襲われ、譜歌を歌えず、逆に隙をつかれリグレットが武器を取り戻され、あれよあれよという間に周りを囲まれ、折角優位に立っていた筈の状況が一転全員が人質に取られる状況へと変化していた。
(教官って言ったんだから何か関係はあるんだろうけれど、それで戸惑って攻撃出来ねぇってのは普通に無しだろ)
散々偉そうな事を言ってきた割にこのザマかと、ライガの迫力に脅えたフリをしながらルーク達は兵士として未熟な一面に内心がっくりしていた。





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