焔と渦巻く忍法帖 第六話

「影分身の様子はどうだってばよ」
「あー、最低」
クイーンと別れた後、ルーク達は自らが作った影分身達と入れ替わる為に森の中を走っていた。ナルトが自らの影分身をルークの影分身につけていない理由、それはクイーンを救う時にナルトが大量の影分身を作る為、ルークがナルトの負担分を考えてナルトの影分身を自らが作った為である。故にナルトは影分身がどうなっているのか分からないのだ。
「あの後クイーンを殺したって報告をしにチーグルの所に行ったんだ。その時にミュウが俺らに付いてくるって言い出したんだよ。俺はいらねぇって言ったけどイオン達が連れてけってなってミュウが付いてくる事になったんだよ」
「・・・きついってばよ・・・」
二人はあの聖獣の甲高い声はあまり好きではない。嫌いではないが、自己主張の激しいあの声はどうしても受け付けない。それが二人にはきつかった。
「断る理由もねぇし、仕方ねぇから世話はイオン達に任せるって条件で了解させたんだよ。まあそれはともかく、その後に問題があってあの眼鏡狸に結局捕まったんだよ」
「やっぱり?」
「捕まって殺されるかと思ったんだけどあの狸キムラスカとマルクトに和平を結ばせる為にキムラスカに向かう途中だってよ・・・それであの眼鏡狸俺に協力して欲しいとか言って来やがったんだ」
そう言うルークの顔はまた面倒くさそうに疲れた表情をしていた。
「・・・あの狸、協力しなけりゃ軟禁するって言ったんだよ。信じられるか?今から和平を結ぼうとする国の貴族を恐喝まがいのやり方で協力させる様に仕向けるって。拒否したら俺を軟禁して和平に向かうつもりだったんだろうな、冗談抜きで。更には俺の地位が必要だって歯に衣着せない言い方ではっきりと言いやがった」
「・・・馬鹿、だってばよ」
和平を結ぶからには成功を義務付けられるのは分かるが、如何せん強引な手段過ぎる。そのやり方に二人は呆れかえっていた。
「和平が失敗しそうになったら俺の身柄と引き換えに何とか交渉しようとでも思ってんのかな?体のいい人質が手にはいったから有効に活用したいとでも思ったんだろうが、俺とのやりとりをキムラスカ上層部に知られたらどうなるかを考えずに発言してんなあれ」
自らの国の王族を王族として扱わないこの態度を聞けば、間違いなくキムラスカ上層部はマルクトに和平を結ぶ意思無しと見るだろう。それ程あの眼鏡狸は拙い行動を起こしている。
「礼儀も知らねぇ、気遣いも知らねぇ。マルクトも馬鹿の集まりなのか?」
大佐という地位の人物があの態度なのだからマルクトも無礼な人種の集まりだろうかとルークは思った。




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