縁を切った先に在ったのは死神の手

・・・そして綱手にサスケを始末したと報告してから数日後、二人は綱手に再び呼び出されていた。



「先日の砂隠れへの協力の件だが、了承と帰ってきた。やはり向こうもこのあたりで木の葉への借りを返したいと思っていたようでな、時間から逆算してほぼ即決のような時間で手紙が舞い込んで来た・・・そこでだ、お前達に新たな任を与える」
「なんでしょうか?」
綱手から報告と新たな任務があると聞き、虚空がその任が何かを伺う。
「大蛇丸が死んだと表向きこちらに情報が来たらあの二人を暗部の任務を体験させる引率がてら引き連れ、お前達が場所を掴んだ各地に点在する大蛇丸のアジトに囚われている者達を解放してこい。基本は囚われていた者達の解放をすればいいが、反抗してくる者は始末しても一向に構わん。大蛇丸を信望している者や個人的に木の葉への怨みを持っている者はまだいるやもしれんからな、その辺りの判断はお前達に任せる」
「「御意」」
綱手から新たに与えられた任は大蛇丸の実験の為に囚われた者達の解放と、詳細を聞いた二人は御意と一言で返す。
「とりあえずそれまでは急の任務があれば別だが、今は休んでいて構わない・・・もう下がっていいぞ」
「「はっ、失礼します」」
そして休養をするよう綱手が言い渡すと、二人は共に一言残してその場から姿を消す。
「・・・後はサクラ達がサスケの事を聞いてどれだけ早く立ち直れるかだが、あまりすぐにとは期待は出来んな・・・まぁダメならそこまでだということだ・・・」
一人場に残った綱手は椅子に背を預けながら目をつぶり、サクラ達を想う。
・・・いくら木の葉がサスケを殺したというように見せない細工をしたとてその死でかつての仲間であり、現在進行形で恋心を抱いているサクラ達がその衝撃で使い物にならなくなるかどうかは別物である。その衝撃の結果忍として活動出来なくなった、となれば最早忍としてはそれ以上の先を望める物ではない。忍は時として己の悲しみさえも忍び殺し、凛とした行動を求められる物だから。
自分の弟子の姿を頭に思い浮かべつつ、綱手は出来れば忍であってほしいという想いを抱かずにはいられなかった・・・












・・・その後、うちはサスケと大蛇丸の死の事実は砂隠れの里により公表された。その事実を知った同期の忍達に一期上のガイ班の面々は『ナルト』とともに、悲嘆に暮れた。

そして一時期『ナルト』とともにサクラやイノなどはしばらく茫然自失となり、目には涙の後がしばらく消えない時期が続いた。忍としてやり直せるかどうかすら危ぶまれる程に・・・

だが他の立ち直ったシカマルを筆頭とした仲間達の叱咤激励により、時期に差はあれども各々立ち直っていき忍として活動するに至っていった。

・・・しかしうちはサスケの本当の死の真相、これを知る者は数える程しかいない。そしてその死の真相はけして他に知らされる事もない・・・あえて表向きだけは木の葉にいたうちは一族最後の一人として片付けられたが、その実は裏切り者として秘密裏に木の葉に片付けられていた事は・・・



・・・うちはの一族復興を真剣に少しは考えていたら、サスケの結末はまた違った者になっていただろう。だがもう遅かった。忍として殺されても当然の罪を犯し、抜け忍に身を落とした。そんなことをして、おいおいと生きれるなどと思っていた事が過ちなのだ。抜け忍という身分で。












温いと言われていた環境から離れた悲劇の一族



今わの際に悟ったかどうかは定かではない



死は誰にも等しく訪れ、いつ何者かが自身にそれを招くか悟らせず近くに潜んでいる事を・・・



END








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