縁を切った先に在ったのは死神の手

「聞きたくない、か。まぁいいや、そこまで言うなら止めてやるよ。そのかわり、もう死んでもらうけどな」
「っ!?」
・・・言いたい事は全て言った以上、説教紛いのサスケいじりにはもう意味がない。ナルトはあっさり殺害予告をして、サスケを一気に現実に引き戻して顔を引き攣らせる。
‘キィィィィン!’
「そ、その音はまさか・・・!」
と同時に、サスケの耳に聞き覚えのある音が耳に入る・・・その独特の甲高い音の正体、それはナルトが片手で作っている螺旋丸の音だ。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉっ!」
その音から何が自分に降り懸かるのか、瞬時に理解したサスケは声の限りを尽くして制止をナルトに命じる・・・
「バイバイ、サスケ」
・・・だが今のナルトに裏切り者の命乞いなど、届くはずもない。サスケの声より遥かに小さく呟かれた声はサスケの耳に確かに届き、そしてその螺旋丸をナルトは・・・






‘ドゴッ!ギュルルルルルルッ!ビビチャッ!’






・・・サスケの顔面目掛けて、ためらいなく振り下ろした。断末魔の叫びすら上げることも出来ず、破壊音ばかりがサスケの頭辺りから聞こえて近くの地面に血が所構わず飛び散る。
・・・そして螺旋丸が効果を失い姿を消すとナルトはその手を退かし、上体を起こす。そこには頭はなんとか原型を保ってはいるものの、穴という穴全てから血を吐きだし顔面はもうサスケとは認識出来ない程グチャグチャになっている光景があった。
「・・・このアジトに他に誰かいたか?」
「いや、いなかったってばよ。多分サソリの情報とカブトがスパイをしていたことから推測して、元々カマ蛇はサソリを天地橋で殺す為だけにこのアジトに来たようだから、あまり時間をかけて滞在する様子もなかったようで手勢も実験体も誰一人いなかったってば。あくまでも俺達の任務は大蛇丸とサスケを殺す事、とりあえずはこれでいいだろ」
「ああ、そうだな」
そのナルトにルークはサスケを殺した事など全く気にせず話し掛け、ナルトも淡々と任務について話し出す。
「後は適当に俺らが殺したってわからないよう、火影様に隠蔽工作をしてもらわないとな。流石に『木の葉の忍』がサスケを殺したってサクラやイノ達に知られたら、ややこしいことになるからな」
「そこんとこは大丈夫だろ、火影様だし。けどサスケが死んだってなったら、俺も流したくもない涙流してサスケの死を悲しまなきゃいけなくなんだよなぁ・・・だるいってばよ」
「それを仕様にしたんだからしょうがないだろ、『うずまきナルト』の」
「まぁね~」
会話の中でだるいと言いつつも、すぐさまルークに気楽に笑んで返すナルト。






・・・木の葉の忍がサスケを殺したと、サクラ達にそう知られてはならない理由。それは木の葉の未来を担える程の逸材達の心を離れさせない為である。

シカマルにネジ辺りはサスケを殺す任務がナルトでなくとも木の葉の忍が遂行していても納得はしていただろうが、未だ里を離れたサスケを想うサクラにイノみたいな他の精神的に成長していない忍などはその事実を知ればまず納得しない。それがナルト達の手で行われたとなれば尚更だ。

・・・里抜け、というのはどの里でもそうだが殺されても当然な行いである。自分を育てた里を自分から捨てて反逆する行為と見なされる、それが一般的に見られる里抜けという物だ。本来ならそんな行動を取ったサスケは木の葉から指名手配を受けて当たり前なのだが、それはされなかった。その理由は先程言ったサクラ達の存在があったからである・・・






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