縁を切った先に在ったのは死神の手

「っ!?・・・どこで、だと・・・!?」
「普通に考えりゃわかることだろ?一族を復興したいならまずどこかに拠点を決めなきゃ、到底腹を大きくした嫁も小さな子供達も無事健やかに育てられるはずもない。動けるお前はよくてもそういった他の人間に負担がかかれば、まともな教育を施すには無理以外の何物でもない・・・そういったことを考えるなら、ちゃんと生活の基盤があり危険も外より比較的に少ない里なんかに身を寄せた方が懸命だと思わないか?」
「それは、確かにそうだが・・・」
「それでお前はどこでそれを成そうと思ったんだ?まさか里抜けしておいて、そうしようと思ったら木の葉の里に戻ればいいなんて思ってたんじゃないよな?どっかアテがあったのか?答えろってばよ」
「・・・っ・・・」
・・・一族復興の為の拠点は必要、そう語りつつその場所に検討はついていたのかを問うナルトの声にサスケは言葉に詰まる。
当たり前だ、サスケはそんなこと一切考えてはいない。考えいない物を言葉に出す事など、出来はしない。だが言葉を探そうとする辺り、無駄なあがきと言える。
「即答出来ないのか?あーあー、それでよく一族復興なんて大風呂敷広げられたもんだな。そんなんじゃ死んだうちは一族全員、浮かばれないんじゃねぇの?大層な信念持っているように言っちゃいるけど、結局サスケは自分達の事を口だけは復興すると言いながら実際は微塵も考えてすらいなかったってな・・・こんな態度取られたって知ったら、結構な侮辱だぜ?そいつらに対してな」
「っ!」
しかし訳を探そうとするという事はすなわち、考えていなかったという事。ルークは呆れながらそれをはっきり突きつけ、サスケは愕然と口を開く。



・・・サスケが口にする復讐と一族復興、その目的の比重は今までの流れからして復讐の方が重いのは明らかだ。しかし復讐をするに到った元々の動機は自らが被害を被っただけでなく、一族が全て殺された事が起因している。

今更ナルトにルークはサスケに復讐を止めろなどと説く気はないし、それをしてももう意味のない状態にサスケは自らしてしまった。だから二人はこうやってイタチより弱い繋がりだが確かに好意を持っていただろう一族の事を引き合いに出し、復讐のみに没頭していたことを後悔させようとしているのだ。



「なぁサスケ。少しでもお前一族の復興の為に何をすべきか、実質的な活動をしてたか?さっき言ったような事でもいいし、他の活動でもいいけど・・・お前イタチへの復讐の為の修業しかしてなかっただろ?どうなんだ、ん?」
「・・・言うな」
そして更にナルトは意地悪くサスケが否定したいが否定出来ない事を口にし、サスケの顔を歪ませる。
「それをさも偉そうに復讐して一族の復興をするなんて俺らの前で公言しときながら、一族の墓がある木の葉の里を離れて復讐三昧ときたもんだ。それで終末の谷で俺に言った大蛇丸に体を取られても俺の目的が達成出来ればそれでいい、って言ったあの言葉・・・どう聞こえただろうなぁ、殺されたうちは一族の人達は。復讐だけが目的だったって思ったんだろうなぁ」
「・・・止めろ、もう言うな」
サスケから命令という名の懇願がその口から出て来るが、ナルトは一向に止める気配を見せない。
「故人を悼む事も振り返る事もなく、あまつさえイタチを殺す為の手段として有効な万華鏡写輪眼を得る機会すら気まぐれの一言で逃した・・・そんなんだから一族復興はおろか、イタチを殺す事すら出来ない訳だってばよ」
「っ!止めてくれ、もう!」
・・・止まらないナルトのとことんまで見下した冷徹な口撃に、サスケはたまらずはっきり懇願を叫び上げる。









14/19ページ
スキ