縁を切った先に在ったのは死神の手

(あれは、サスケ君の千鳥流しに似ている・・・いや違う、あれはチャクラ刀・・・)
燃え上がる刀身を見て、大蛇丸はそれをチャクラ刀だと判断する。
(けど朱炎、その程度で私が殺せるとで・・・)
‘ザンッ!・・・ゴォッ!’
(っ!?)
チャクラ刀なら見たことはあるため大したことはないと甘く見ていた大蛇丸だが、瞬時にその考えは一掃された。尻尾の付近に瞬間で移動し朱炎の振り払った刀は胴体から尻尾を切り離し、その切り口の断面から燃え上がった炎は瞬く間に大蛇丸の体を全て燃やし尽くすよう、体をはい上がって来た。
(マズイわ!)
『ハァァァッ!』
‘ジュワァァァ’
その様子に大蛇丸は焦りを感じすぐさま頬を膨らまし、自分の胴体に水遁をかけ消火する。
(・・・もう少し遅かったら、あの尻尾のように・・・!)
自身が燃え尽きなかったのをよかったと思うより先に、ふと切り離された尻尾が燃え上がる様子を見て内心で冷や汗をかく大蛇丸。
(マズイ、私を殺せるどころの問題じゃない。この子は攻撃しながらも無意識に私の体液を無効化してる・・・これは私にとって本当に最悪の相性・・・!)
そしてこの一瞬で大蛇丸は自身にとって最悪の相性だと理解して、戦慄していた。






・・・大蛇丸にとっての誤算は三つあった。
まず一つ目はこの形態での最後の切り札である体液の痺れ毒が無効化されたこと。正直な話でいくら痛め付けられようとこの痺れ毒を持って二人を動けなくし、最後にどちらかを乗っ取ればそれで済むと大蛇丸は思っていた。だが朱炎により切られ燃え上がった部分からは体液など出るはずもなく、蒸発してしまっている。これでは朱炎を痺れさせることなど出来ない。

二つ目の誤算は虚空がこの場から消えた事である。朱炎の攻撃は相性が最悪だとしても、虚空の攻撃次第では痺れ毒を空気中に散布させることも不可能ではなかった。だが今虚空はどこかに行ってしまって、場所は検討もつかない。

そして三つ目は・・・虚空に朱炎の強さが大蛇丸の想像を遥かに超えていたこと・・・






『ハァ・・・ハァ・・・っ!』
・・・最早戦いとは言えない程、一方的な嬲り物となっていた。いくら大蛇丸が体を再生しても朱炎はただ無慈悲に体を切り飛ばしながらも燃やしていき、体を再生するためと消火用の水遁にただ大蛇丸は自身のチャクラを使うしかない。チャクラは自身のスタミナを使う為無尽蔵にあるわけはなく、無限などではない。故に体を再生し続けてきた大蛇丸のチャクラはもう切れ出していて、その証拠に息を切らしていた。
「・・・そろそろいいか、もう変わり身をするくらいのチャクラも残っていないだろう・・・時間もかけられない、もう片付けてやる」
『なっ!?』
それを見て取った朱炎はとどめ発言をして立ち止まると、大蛇丸の頭の上に飛び乗る。
「直接炎を流し込んでやる」
『!まさ・・・!』



‘ズブッ!ゴォォォッ!’


『ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!』
・・・そして朱炎の言葉を聞きまさかと焦る大蛇丸だったが、時遅く脳天に突き立てられた刀により頭が発火しだし断末魔の叫びを上げ地面にのたうちまわる。朱炎はのたうちまわる前に刀を抜いて近くに飛んで退避して、その様子を観察する。
『こんな・・・こんな事がぁぁぁ!私が、私が死ぬなど・・・!私は不死、私はこの世を解き明かす者・・・!』
「黙れ」
だが火に包まれのたうちまわりながらも自身の結末を認めたがらない大蛇丸に、朱炎は改めて大蛇丸の胴体辺りに立つと刀を鞘に納めて両手に光を収束させだす。



「死ね・・・レイディアント・ハウル」









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