縁を切った先に在ったのは死神の手

「女を里が用意、だと・・・?」
「そう。うちはの一族はお前以外イタチに全て殺されたって言っても、お前がいるから完全にその血が途絶えた訳じゃない。それで一族の復興をするとお前はカカシ先生に言っていたし、そんな意志を見せるお前の為に里の上層部はならばとその用意をすることを考えていたんだよ。特例的な意味で一族復興の為にお前に自薦他薦問わず、複数の女をあてがうことでな。まぁそれも実際はお前が里を抜けた事で実現はされなかった訳だけど」
「・・・っ・・・」
里が自身にそのような政策を取ろうとしていた事は知らなかった、と言わんばかりにサスケは呆然と口を開く。



・・・ただ一見サスケ個人の意志を尊重して最大限に贔屓しているように聞こえるが、実際は全く正反対だとナルトは知っている。

木の葉においても他の里においても、うちは一族のブランドと実力は結構な影響力がある。そんなうちは一族を再興させれば戦力として頼りになる上、他里に対して睨みをきかせる材料としてはこの上ない物となる。更に言うならまだ里の歴史を遡った関係をリセットしたうちは一族が木の葉の味方になるというメリットがある、これは相当に大きい物と言えるだろう(ただここでは木の葉とうちはの歴史は関係ないので、あくまで真っさらな状態のうちは一族を里は望んでいるとだけ追記する)。

・・・里はサスケの為というよりは里の為に一族復興を支援したかったというのが本音としては大きかったのだが、それはもうナルトには関係ない事だ。何故なら・・・



「それで里抜け、それもよりにもよって大蛇丸のとこになんてお前が行ったもんだから里は危惧したんだよ。お前が木の葉の里に襲い掛かってくることもだけど、今言ったように色々な女を孕ませて新たなうちは一族を作られてその子供達が木の葉の脅威となることをな・・・だからそんなことになる前に災いの芽を刈り取る為に俺がここに派遣されたんだよ」
「・・・っ!」
・・・良案とは何も一人だけが思いつく物ではない、人である限り誰かが考えつける物だ良案など。
サスケを匿った大蛇丸はサスケを乗っ取る気だったのでサスケに女を孕ませ続ける気はなかっただろうが、それでもサスケの体を乗っ取った大蛇丸が多様な目的の為にその体で女を孕ませれば写輪眼発現の可能性を秘めたうちはの血を引く子が生まれるのは必須。
・・・サスケにその子供達が木の葉の里の脅威となるなら排除、ハッキリと告げられたナルトの宣告にサスケは顔を引き攣らせかける。
「ま、待て!一つ聞かせろ!お前がここに来たって言うなら、大蛇丸はどうした!?あいつを倒してお前はここに来たのか!?」
らしくもなく大蛇丸のことを叫びながら聞くサスケ・・・これはどうにかこの状況を脱しようと必死に考える為のいわゆる悪あがき。その声にナルトはサスケが目が見えないとわかりながらも、自らの入って来た入口を振り返る。
「・・・あぁ、来たってばよ」
「・・・?」
そのナルトの声に誰か来たのかと気配を探ろうとするサスケ。
‘ドサッ’
「?」
するといきなり自分の横に何か重い物が投げられてきた音がしたことにより、余計に何かわからなくなる・・・と、サスケは鼻をヒクヒクと動かす。
「なんだ・・・何か、焼けたような臭いが・・・」
隣から匂ったのは焦げ臭く何かの肉が焼けたような臭い。するとその声に答えたのは・・・



ナルトの隣に来た、ルークだった。



「どうだ?カマ蛇の本体、白蛇の兜焼の臭いは」








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