縁を切った先に在ったのは死神の手

(目が回復するまで、どう凌ぐ・・・?)
「目が回復するのを待つ気だろ?させねぇよ、んなこと」
「っ!?」
サスケは焦りつつも目が見えるようにどうするのかを考えようとするが、ナルトはすかさず考えを読みそれを口にする。
‘スパッ’
驚きにサスケが一瞬硬直する刹那、サスケの両目を結ぶ一線上に閃光が走る。
「うっ・・・ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」
そしてすぐに二つに割かれたサスケの両目・・・その痛みに気付き、サスケは苦痛に叫び両手で目を抑える。ナルトの右手にはクナイが握り締められている。
「はい、これで写輪眼どころか普通に物を見ることすら出来なくなった。もう詰みだよ、お前」
「あぁぁぁっ・・・く、くそ・・・っ!」
‘バチィッ!’
目を潰して尚余裕すら見せない冷静なナルトの声に、サスケは目を閉じ血涙を流しながらも歯を食いしばり全身から千鳥を自身の周りに網目状に放つ。
「千鳥の形態変化か?身につけた術としては狙いはいいけど、今の俺は一か八かの攻撃を安々と喰らってやる程鈍くないってばよ」
「なっ!?」
だが千鳥流しがナルトに当たる事はなく、少し後ろに下がった声にサスケは外された事に対し驚く。
「もう一度言ってやる・・・もう詰んでるんだよ、お前。けどんなこと理解できるような利口じゃないウスラトンカチ頭のお前にちゃんと丁寧に教えてやるよ、敗北と・・・死の味を」
‘ヒュンッ、ザクッ!’
「ぐぁっ!」
サスケに対し盛大に皮肉を交えた声をぶつけると、ナルトはクナイを目が見えないサスケの右肩に投げる。クナイが見事に肉どころか骨まで貫通し、たまらずうめき声を上げるサスケ。
‘ヒュンッザクッヒュンッザクッヒュンッザクッ’
「ぐっ、ぐっ、ぐぁぁぁっ・・・っ!!」
更に左肩・右太股・左太股と順序よく投げられたクナイはいずれも避けることも出来ないサスケを貫く。
「ほいっと」
‘ガンッ’
「うぐっ!」
だがそれでも足の骨を貫かれても倒れる事を良しとせずフラフラながらも立っていたサスケの頭を掴んでその足を払い、ナルトは床へと頭からたたき付ける。
「仕上げにっと」
頭にかかる鈍痛に顔をしかめるサスケから手を離しナルトは新たにクナイを取り出し両手に握ると、サスケの腰の横辺りに落ちた両の掌目掛け・・・
‘ザザクッ!’
「あぁぁぁぁぁぁっ!」
ためらいなくクナイを二つとも振り下ろした。これでもう何度目にもなるが、痛みによる絶叫を上げるサスケ。
「これで印も結べない、まともに体を動かす事もかなわない・・・言っとくけど、呪印を発動させても無駄だぞ?発動させた瞬間、首が胴体から離れる事になるからな」
「・・・っ!」
まともに体を動かせない地面に張り付け状態に持ち込んだナルトはサスケの最後の切り札とも言える呪印を使う事への牽制を口にし、サスケを強制的に手詰まりへの理解に追いやる。



(何故、だ・・・何故ナルトはここまで、強い・・・何故だ・・・!?)
ここまで一方的にやられたサスケは悔しいなどという感情よりも先に、この強さへの疑問が浮かぶ。
「何故、だ・・・何故お前は実力を隠してやがった・・・答えろ、ナルト・・・!」
そしてその疑問は既にサスケにとって無視出来る問題ではない。自分の立場があまりにも不利な事を差し引いてでも聞かねばならないと、強い命令口調でナルトに言うよう求める。
「・・・何勘違いしてんだよ、サスケ?忍辞めて大蛇丸のとこ行って頭本気でウスラトンカチになったのか?」
「・・・何?」
だがナルトから返されたのは心底理解出来ないと、首を傾げた疑問の声。



「忍の本分は文字通り忍ぶ事、実力を忍ばせていて何が悪いんだってばよ」








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