縁を切った先に在ったのは死神の手

‘ヒュンッ!’
(なっ・・・!?)
・・・ナルトが言葉を発した瞬間場の空気が一瞬にして冷えて重くなると同時に、ノーモーションでナルトは手元から出したクナイをサスケの顔に投げつける。サスケはそのクナイを顔の前辺りで横にかわして避けるが、内心驚きを隠せずにいた。
(なんだ、この速さは・・・!?)
二年半程前に戦った時から段違いに実力が上がったとサスケは自負している、ナルトとは比べるまでもないと眼中に入れない程には。だが今のクナイの速さは明らかにサスケの常軌を逸していた、写輪眼を出してなければ確実に死んでいたと思う程。
‘ポイッ’
(なんだ・・・光玉っ!?)
だが驚く暇をサスケに与える気はないナルトは左手から光玉を取り出し、避けた先のサスケの眼前に光玉を投げつける。
(千鳥流し・・・!)
‘カッ!’
「うぁっ!目が・・・目がっ!」
マズイと思ったサスケは千鳥流しで光玉を壊そうとするがそれもかなわず光を放った光玉を眼前で見てしまい、サスケはたまらず目を手で抑え苦しむ。
「血継限界に頼りすぎだ、サスケ。写輪眼が無敵の万能能力だとでも思ってたのか?」
‘ドゴッ!’
「かはっ・・・!」
その隙を見逃さずナルトはサスケの前に立ち写輪眼の事を口にし終わると、鳩尾に強烈な右拳をぶち込み体をくの字に折る。苦悶し息を強制的に吐き出させられたサスケはそのまま吹っ飛ぶと思われたが、ナルトはサスケの着物の襟を左手で引っつかみ吹っ飛ぶのを阻止する。
・・・口を大きく開け酸素を取り込もうと目を閉じながら下を向くサスケ。そのサスケにナルトは顔を耳元に近付け、そっと囁く。
「どうだってばよ、写輪眼潰しを味わった気分は?目が良すぎて光がよく効いてるんじゃないか?」
「・・・っ!」
写輪眼潰し、ハッキリ聞こえたそれに瞬間的にサスケは時が止まる。



・・・写輪眼を相手取るのに効果的な方法は二つある。一つ目は常に二人以上で立ち向かい、一人は写輪眼に映らない背後から相手を叩く事。二つ目は写輪眼そのものを使えない状況に持って行く事だ。

一つ目の二人以上で立ち向かうのは写輪眼持ちが得意とする瞳術を主とした幻術に対抗するためでもあるが、総じて身体能力の高いうちは一族に効率的に相手をするためである。だがこれは二人以上が必須条件になるため、一人の時は敵わない限りは必ず逃げろがセオリーになっている。

なら二つ目の写輪眼が使えない状況は現実的ではないかと思われるが、実際はそうではない。元々写輪眼持ちの相手には写輪眼を超える程の術をかけねばまず幻術にはかからないので、そんな人物が中々いないため実用的ではない。なら物理的に目潰しをすればいいのでは、と言うのも話が違う。写輪眼は普通の目と違い物が大分スローにハッキリと見えやすいという特徴があるため、大抵の物理攻撃はかわされやすいという特徴がある。つまりどちらにしても余程うまくやらなければ写輪眼潰しは実用的ではないのだ。

その二つの内から写輪眼潰しを選んで、一人で堂々とサスケの目をナルトは使えないようにした・・・



(ナルトが、こんな手段を取って来るなんて思っていなかった・・・)
・・・青息吐息の状況でサスケは考える。ナルトが細工を持って自身の目を潰して来るとは、サスケはかすかにも思っていなかった。写輪眼対策の常道のことは知らずとも、少なくともナルトは肉弾戦以外では来ないと思っていただけにこのダメージはあまりにも大きい・・・






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