縁を切った先に在ったのは死神の手

サスケの知るナルトであったなら、この再会において少なからず動揺・歓喜・絶叫など感情の現れた動の表情をすると見ている。だが今サスケの目の前にいるナルトは一切表情を動かさず、サスケと出会えた事に喜びも悲しみも不安も何も覚えた様子は見せてない。
(誰かの変化なんかじゃねぇ・・・いや、それよりもコイツ一人なのか・・・カカシやサクラは?それに大蛇丸は何をやっている、どうして戻って来ない・・・?)
写輪眼に映るナルトが偽者などでないとわかるだけに、サスケの心中はナルトに対する洞察で多弁になっている。
「どうした、サスケ?何か俺に言いたい事でもあるのか?」
「っ・・・サクラにカカシはどうした?」
そんな心の揺れが見透かされたようなナルトの静かな問い掛けにサスケは少し動揺しつつ、素直に聞きたいことを口にする。
「あぁ、二人はここに来てないってばよ。俺は第七班としては来てないから二人は連れて来る必要はなかったからな」
「第七班じゃない・・・なら何をしにここに来やがった?」
「何をしに?」



「お前を殺しに来たんだよ」



「っ!?んだと・・・っ!?」
簡潔にうすら笑いを浮かべながら質問の答えを返され、サスケの表情が一気に不快と驚きが入り混じった物に変わる。
(何が起こりやがった、ナルトに・・・いや、むしろホントにコイツナルトなのか・・・?)
ナルトに馬鹿にされた、そう思うと同時に自身の写輪眼を疑う程らしくないナルトへの疑問がサスケの心中でごっちゃになる。
「・・・ふん、どの口が言ってやがるウスラトンカチが。お前の命はあの時、俺の気まぐれで助かっただけだというのに・・・」
だが今のサスケにとってナルトは仲間などではない。疑問は気にする必要もないかと心から締め出し、終末の谷の事を引き合いに出して動こうとする。
「気まぐれ?そんなもんで俺を殺さなかったのか?だったらあの時、お前が俺に勝った理由はなんだと思ってる?」
「・・・何?」
その矢先ナルトから意味深な問い掛けをされ、サスケは出鼻をくじかれ立ち止まる。
「思い出してみろ。呪印の力を解放したお前と九尾の力を身にまとってた俺・・・千鳥と螺旋丸が激突した時、力の差があったように思えたか?」
「・・・大きくは空いてはいなかった」
更に終末の谷の時を思い出すよう言われ、サスケは認めたくないと心中を見せつつも大差はなかったと思い返す。
「なら勝った理由はなんだ?サスケが俺よりわずかに力が強かったから?それともただ単に運だったのか?・・・どう思ってるんだ、サスケ?」
「・・・だったらなんだってんだ、このウスラトンカチ」
差がない状況だった、自らがそう認めたために勝因はなんだったのか問われサスケはわからないと暗に認めるようナルトに苛立ちながら返す。
「簡単だよ、その理由は。あの時お前が勝った理由はそれが」



「任務だったからだってばよ」



「任務・・・だと?・・・っ!」
その声とは逆に至って冷静に返されたナルトの答えにサスケは最初意味を理解できなかったが、その言葉が意味する物に気付き怒りに目を見開く。
「手加減していた、とでも言うつもりか・・・あの時・・・!?」
「あぁ、そうだよ。そう言ってるじゃん」
隠すことが出来ない侮辱への怒りに殺気が滲み、軽く宣ったナルトにそれを向ける。
「言ってくれるじゃねぇか、ウスラトンカチが・・・だったら今度は今言ったように、俺を殺してみろ・・・」
わざとやられてやったなど、サスケは信じていなかった。今ナルトが言った事はその性格から考えてみて、強がりの負け惜しみ。
そう思った為に、サスケはその思い上がりと強がりごとナルトを殺そうと首をしゃくり手を来いと挑発するようクイクイと動かす。



「言ったな?じゃあ遠慮なく殺してやる」







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