縁を切った先に在ったのは死神の手

・・・里のトップとその座を狙う者の牽制のしあい、そんなことが行われつつ五日が経った時に接触の時は訪れた。









・・・天地橋と呼ばれる橋の上、一人の白フードを被り白マントを羽織った男は待ち侘びていた。
(そろそろ来るか・・・サソリは・・・?)
フードの下の眼鏡の奥にある目を油断なく光らせつつ、カブトはとっくに暗示から解放された思考で自らをスパイだとまだ思っている元主を待っていた。ここに来るだろうサソリの隙を見つけ次第、後ろに身を潜めている大蛇丸とともに始末するようスパイの顔を貼付けるのを忘れず。
‘トトトッ!’
「っ・・・っ!?」
すると突然カブトの斜め上からクナイが雨あられのように降ってきて、それを咄嗟の判断でカブトは後ろに跳び避ける。カブトのいた地点には無数のクナイがあり、避けずにいたら確実に蜂の巣状態であったことだろう。
「いい反応だな、まぁこの程度ははたけカカシと同じくらいと自分で言っていたから当然か」
「っ!・・・木の葉の、暗部だと・・・!」
警戒をあらわにするカブトの前に姿を現したのは、木の葉の暗部服と狐の面を身に纏った、夜闇にはえそうな金髪眩しい175㎝程の身長の暗部。
「・・・ほぉ、サソリのスパイはカブト、お前か。大した猫かぶりだな、木の葉のスパイをしたかと思えば大蛇丸のスパイもやっていたとは・・・ここに来たのはサソリに大蛇丸の情報を渡すためか?」
「・・・貴様、サソリ様に何をした!?」
カブトの姿を見るなりサソリやらスパイやらを口にする暗部に、質問に答えずあえてまだ忠義溢れるサソリのスパイのフリをしてカブトは声を荒げサソリの事を聞く。
「貴様にそんなことを話す義理はない。そして大蛇丸の一味でもあり、暁の一員でもある貴様を生かしておく理由もない。大蛇丸の居場所を吐かせたらすぐに始末してやる」
「!・・・たかが暗部一人程度で僕を拘束するつもりですか?逆に貴方を捕らえて差し上げ・・・」
「面白そうな事をしているわね、カブト」
「!?」
しかし感情の起伏のない声で返され尚且つ戦闘を辞さない態度を見せる暗部にカブトも実力行使にかかろうとするが、突然カブトの背中越しに背を合わせ腕組みをしながら現れた大蛇丸にカブトは驚き、暗部と大蛇丸の直線上から離れ上から見たら三角形の三つ巴の形で陣取る。
「カブト、スパイを演じる必要はないわ。それより私の援護に回りなさい・・・気を抜くと、死ぬわよ」
「大蛇丸様・・・はい、わかりました」
だが演技することをすかさず止められたカブトはその暗部を薄気味悪い笑みをしながらも、一切目からは笑みを見せない視線で見る大蛇丸の隣に移動する。
「・・・知っているのですか、この暗部を?」
その様子にカブトは大蛇丸に倣い暗部を油断なく見据えつつ、その正体の心当たりを問う。
「実際に私も見たことはないわ。けど貴方も知っているでしょう、暗部は小隊単位の団体での行動が基本だと言う事は」
「・・・ええ」
・・・暗部の任務は忍の中でも重要かつ困難な任務が目白押しである。そんな任務であるから単独で任務をこなすには失敗の確率が高い為、基本は小隊単位で行い成功確率を上げるのが暗部クラスの常識である。
だが大蛇丸からそんな暗部が一人で目の前にいること、カブトはそれを受け止める。
「けどこの暗部は一人でこうやって貴方の前に現れた、そしてこの狐面をする暗部・・・あまりにも情報が少ないから推測だけど、この子はおそらく木の葉の死神と呼ばれる・・・虚空よ」
「虚空・・・この人物が・・・!?」
前置きをして暗部を虚空と推測する大蛇丸に、カブトは少なからずだが驚きを見せその暗部を物珍しそうに見る。








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