焔と渦巻く忍法帖 番外編

新たな出会いで昔日を思い出す(時間軸としてナルト世界に移り、四人プラス自来也で修業中に自来也が思ったこと)









「「はぁはぁ・・・」」
「どうしたどうした!それで終わりかってばよ?」
「「まだ(だよ)(です)!」」
誰もいない森深くの奥で少し開けた場所。そこで神託の盾の服を脱ぎ修業用に用意された胴着を見に纏ったシンクとアリエッタが少しボロボロになった状態で、綺麗な服のままのナルトと相対していた。
「頑張るなぁ」
「しっかしあの二人も随分とナルトにかかっていけるのう。根性に関しちゃ問題はないな」
ナルトの激に二人は大きく声を上げ再びナルトに向かい出す。それを遠くから見ているのはルークと、シンクとアリエッタの教育をルークとナルト二人と共にやるよう綱手に任された自来也だ。
「本来は贅沢な事なんだがのぅ・・・忍の世界において五影以上の実力を持つ最強の二人と謳われる主らに、直々に教育を施されるのは」
「三忍が何言ってんだよ、オッサン」
しみじみ何かを感じながら話す自来也に、ルークは笑みながら軽口を叩く。
「・・・その三忍を騙し通す実力を持つお前らが言うか。綱手が言っておったぞ、はめられたとな」
「それこそ何言ってんだよ。忍ってのは本来字の通り忍ぶもんだろ。忍の実力は一々ひけらかすもんでもねぇし、それが任務だったから正体を忍び通してあんたと共に五代目を五代目に仕立てあげたんじゃん。はめられたってのとついでに賭けに負けたのは、五代目がナルトの真実を見抜けなかったからだろ?」
「・・・確かにのぅ」
そこからわざとらしいジト目で突っ掛かる自来也に、ルークは真っ向から気楽に肩を竦めて正論で返し参ったよう頭を自来也は抱える。
(とは言え、悔しさなんぞはないんだがのぅ。わしも綱手も)
・・・だがそれもあくまでまいったフリ。自来也の内心は至って健やかに晴れ渡っていた。



・・・元々自来也は火影としての役割を求められていたのだが、それを大蛇丸を止めたいという気持ちから固辞していた。そして大蛇丸が三代目火影を殺した事で五代目火影を務める者として綱手を探しに行くことを自ら言い出しナルトを連れていった訳だが、そこで自来也は綱手とともに真実を目の当たりにした。

・・・事情が重なりに重なり大蛇丸と対峙するに至った自来也と綱手、その時は辛くも大蛇丸を撤退させたのだが・・・そこからが二人の予想を遥かに超えた物だった。

なにしろ大蛇丸が撤退した直後に綱手の付き人のシズネと豚のトントンがいきなり気絶し、二人の前に現れたのは暗部服を着たルークが現れ・・・そして死ぬ寸前まで追い込まれていたはずのナルトが勢いよく目覚めたのだから。



(確かに事実を知った時はわしも綱手も躍らされたと思った・・・が、それ以上にナルト達の事を知れてよかったと思った・・・そっちの気持ちが強かった)
自来也達が話を聞けば三代目以外に虚空と朱炎の正体を知る者はおらず、五代目が決まったならその人間性を判断した上で正体を明かす事を決めていたとのことだった。
(騙された、とは言ったが事情を考えれば迂闊に話をすることも出来ん・・・それに三代目の敵を前に実力の一端も出さず火影になると聞くまでボロボロになるまで耐えたのだ、例え医療忍術を使えると言っても・・・そうまで聞いてはわしも綱手も責める気を失ったわ。ただ秘密の為とは言え気絶させられたシズネは少し可哀相だったがの。まぁ二人が相手ではわしも一矢報いることすら怪しいから仕方ないが)
全ての事情を聞いた二人はナルトの事情を知っていただけに、その行動を許さざるを得ない物となっていた。そして綱手はそれを聞いて五代目の火影になると改めて宣言した。ちなみにだがシズネは気絶させられたが記憶操作で気絶したことを覚えておらず、普通にその後活動していたのでまぁいいだろうと綱手は言っていた。ただシズネもそれなりに強い部類に入る人間で、二人も気絶させられた瞬間を目視はほとんど出来なかった。故にそれで自来也達は理解した、これは明らかに自分より強いと。
(・・・そんな二人が信頼できる者を二人も連れて来たのだ。わしにも出来ることはしてやらんとのぅ・・・)
その二人がシンクとアリエッタという数少ない信頼が出来る者を連れて来た。ならばこそ何か自分にやれることなら出来る限り、なんでもやってやりたい。
自来也は必死に体術でナルトに向かっていく二人を見ながら、そう考えていた。








END






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