焔と渦巻く忍法帖 番外編

日常になりつつある物(忍術講座をナルトから受けて来てしばらくした後、タルタロスにて)












「よーし、大分いいってばよ」
「これでいいの?」
「何してんだ、二人とも・・・って、シンク。分身の術使えるようになったのか?」
タルタロス内の一室、そこに入って来たルークはシンクの姿が三人に増えていることで分身の術だと瞬時に推測する。
「飲み込みも早いし、チャクラもちゃんと練れてる。うん、いいんじゃないか?これならアカデミー入らなくてもすぐに下忍辺りにはなれそうだな」
「僕としては早く影分身を使えるようになりたいんだけどね」
「多重影分身は結構普通の忍術に比べたら格段に難しいから、段階を踏む必要があるってばよ。分身の術がやっと出来るくらいじゃまだ使えないぞ」
「むぅ・・・」
ナルトから師として送られた言葉に仮面を取れば確実に眉間のシワを寄せているだろう、分身も含めシンクはうめき声を上げる。
するとその一室の扉を開け、誰か入って来る。
「ルーク・・・あれ?シンクが三人・・・」
そこにいたのはアリエッタ。まだ分身の術を解いていなかったシンクの姿を見て、小首を傾げる。
「ルークかナルトが影分身を使ってるんですか・・・?」
その分身達から二人の分身なのかとアリエッタは聞いてくるが、そんなアリエッタにシンクの内の一人がニヤリと笑い、近付いて肩に手を・・・
「・・・キャッ!?」
かけたが、その手は実際にアリエッタに触れる事なくすり抜けてしまい、思わずアリエッタは驚いてしまう。どうやらこのシンクは分身のようだが、影分身しか知らないアリエッタには十分驚く材料と言えた。
「やっぱり実物を作る影分身と違って不便だね。まぁこれでもめくらまし程度にはなるんだろうけどさ」
「ま、影分身も分身も使い方次第って所だな。チャクラ使うデメリットがあるって分は変わんないんだから、後はシンク次第だ」
「そうだね」
「何の話、してるですか・・・?」
「あ、悪かったなアリエッタ」
ルークとシンクが真面目な会話をしてる中、アリエッタが一人話についてこれず困り顔になる。そこからルークは影分身と分身の違いについての説明を始める・・・






「・・・っつーわけでさ、シンクは分身の術を使えるように訓練してたんだよ。影分身と違って分身の術は初歩の忍術だからな」
「・・・そういうこと、ですか」
説明を聞いて納得したように声を上げるが、表情は全く納得していないようにシンクに向き直る。
「なんでアリエッタにシンク、驚かせるような事したんですか・・・?」
「・・・え?」
その質問に予期していなかったと、シンクは呆気に取られる。
「・・・別に、ただなんとなくだよ」
しかし答えをもらうまで引かない意志を見せる瞳に、シンクは気まずそうに答える。
「嘘、です。シンク、手を出す時アリエッタ見て笑ってたです」
「うっ・・・」
だが続いたアリエッタからの追撃に、シンクは言葉に詰まる。察するにアリエッタをからかう程度で終わるつもりが、その悪戯心を見抜かれてしまってどうしていいのかわからないのだろう。
「シンク~、ちょっと根詰めてたから休憩にするってば。じゃあ俺はルークと一緒に菓子でも食って来るからごゆっくり~」
「え、ちょっちょっ・・・」
そんな二人の様子にあからさまにニヤニヤしながら、ナルトはルークの手を有無を言わさず掴む。そしてルークはシンクがすごく助けを求めている目をしているのを見ながら哀れんだような視線を向けたが、シンクが何か言い切る前にルークはナルトに連れられ一瞬でその場から消え去った。






(・・・ご愁傷様)
タルタロス内の厨房の中、ナルトにここに連れて来られたルークは心でシンクに合掌しながら菓子作りに取り掛かる。
(まぁそれでも分身の術を使えるようにはなってんだ。後で差し入れでもしてやるか・・・)
しかしシンクが使う分身の術を見て少し感慨にふけっていたのも事実。アリエッタと話をつけるころには作った菓子を持っていこう、そう思いながらルークは手を進めていった・・・






END








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