焔と渦巻く忍法帖 epilogue

「預言が詠まれなくなることを未だ嫌う者達・・・そんな者達が未だいて、ローレライの鍵を奪いに来るとそうおっしゃるのですか・・・!?」
明かされたルークの最後のターゲットの事を耳にし、そんな存在が未だいることを信じられないと疑うセシル少将にルークはそんな人物達が未だにいる根拠を語る。
「ええ、いくらプラネットストームを止めねば今後の星全体の危機に関わり自分達が危なくなるとは言え、預言の恩恵を未だ忘れられない人物というのはまだいる物です。事実しばらくの間私が地上からいなくなってからも預言を詠む事を願う人々はいたでしょう」
「・・・はい」
「表向きにそんなふうに預言を望む活動をしていた者達はたちまち縄目を受けました。大方そんな光景を見ている内に強行派と呼べる人間が考えるのはこんな考えです。『いたずらに無計画に騒ぎ立てても預言復活は出来ない、ならば機を待って動くしかない』と」
「だから・・・ラジエイトゲートにその強行派が襲い来ると?」
「十中八九来ます。プラネットストームを止めれば第七音素は世界を巡らなくなり、もう預言を詠む事は叶わなくなります。それに先のバチカルにて私がプラネットストームを停止させるために地上に戻ってきた事は、おそらくそういった連中の間で最大の懸念となっているはずです。そしてマルクトとダアトの返事が来たらすぐにラジエイトゲートに向かうことも同時に伝わっているだろうことから、その連中が出すだろう結論はこれくらいのものです。『プラネットストームを止められてしまえば元も子もない、それに下手に論じている時間もない・・・なら取れる手段は一つ、我々がレプリカルークを襲い鍵を奪ってしまえばいい』・・・そういったような結論をね」
「!・・・確かに、大いに有り得ますね・・・」
「はい。無論これはあくまでも可能性として提示したものなので絶対とは言えませんが、未だ預言復活を願う人物達が身を潜めていたならそれらの人物達にとって私の行動は絶対に望まれる物ではありません。故に万全を期する為に貴女を指名したのです、もしもの為に」
「成程・・・」
・・・説明も一通りやり終え、セシル少将は緊迫した面持ちで頷く。だからそんな連中がいた場合の為に私が都合がよかったのか、そう思っているのだろう。



・・・ただ、真実は違う。ルークは十中八九どころではなく、百%の確率で預言復活を望む連中が襲い掛かって来る事を確信している。それは何故かと言えばバチカルでルークが再び地上に降臨した(ように見せた)時、プラネットストーム停止することをインゴベルトが発表した時にそれを喜んでいない輩を数名見かけていた為だ。

成人の儀が停止か否かを発表する場、世間でそういった噂が流れればまずそれが本当かどうかを確かめる為に何人かは確実に場に来るだろう。そしてルーク自身場に出てから不穏な感情を秘めている様子の数名を監視していたが、やはりというべきかそんな人物達がプラネットストーム停止をどんどん進めていくルークにいい視線を向けてはいないと、ルークは自身で感じていた。同時にこの様子なら確実にアクションを起こして来る、そう思った為にルークはいぶり出しの期間を設けたのだ。マルクトとダアトの了承を得てからプラネットストームを止めに行くと、信頼を自身に集めた上でそいつらを集めるように。

セシル少将にもルークは言ったが、そんなことを聞いたなら焦る事だろう。未だ預言を危機と思わず、神の言葉と信じる愚者達は。そしてそんな愚者達は今や数少ない同志達のネットワークを必死に駆使して集めたはずだ、プラネットストーム停止を断固阻止せんとする面々を。

・・・預言復活を願うからこそなりふり構わず連中は時間もなかったため、総力戦としてそのネットワークに名前が上がる面々全員で来るだろう。下手に戦力を出し惜しみして万が一プラネットストームを止められてしまえば、それこそ地獄。ならばいっそ全員でかかればいいと、マルクトとダアトの返事が来る前にラジエイトゲートに集まって襲い掛かれば問題は万事解決する・・・とでもバチカルに来た者達は言って集めている事だろう、ラジエイトゲートに全ての面々を・・・



・・・そうやってマルクトとダアトの返事が来てから行くとルークが言ったのが、時間制限を用いて焦らせ戦力を総集させてから全て自分で片付ける為の策略だとその愚者達は知らず・・・









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