焔と渦巻く忍法帖 epilogue

「どうやら今の質問に関しちゃ答えるには時間が必要のようだな。それに吐いたりしてしまったから体調も悪いだろうしな・・・別にもうその答え言わなくてもいいから、場を掃除するために兵士を呼んでやるよ。そして部屋に戻ったらジックリ考えてみな・・・今後の事を」
「「!」」
もうこれ以上責める意味もないので場を納める言葉をルークは発すると同時に、殺気を一瞬で霧散させて消し去る・・・が、最後に追加された今までの流れを総集して物事を考えて見ろとの言葉に、狂乱していた猪思考姫は言葉を止め煙デコと一緒にビクッとしてから制止する。
「・・・すみません、少しいいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
そしてルークはそんな二人を追い出す、または汚れた部屋を代えてもらう為に一瞬でドアの前に移動してドアを開け、申し訳なさそうに外にいた兵士を呼び込む。



・・・そして中に入れられた兵士は二人の惨状に驚いたが、適当にルークがいきなり気分が悪そうになったと思ったら吐き出して泣き出し声をかけても反応しなくなったと説明し、その説明を聞いた兵士は慌てて他の兵士やメイドを呼んできた。
その結果ルークは部屋を代えるからと別の部屋をあてがわれ、二人はメイド達に茫然自失となっているところを両脇から体を支えられながら各々の居場所へと戻って行った。

・・・これでもう、ルークがやるこの世界で残る後始末はプラネットストームの停止と後一つ・・・












・・・そんな後始末の最終的な開始であるラジエイトゲートへの出立が、煙デコ達に互いの認識を改めさせてから数日・・・とうとうやって来た。



「・・・マルクトもダアトも、プラネットストームの停止について了承を返してくれた。後はそなたがそれを成すだけだ。後は頼んだぞ」
「慎んで承ります」
バチカルの港、船をバックにするルークとセシル少将と幾人かのキムラスカ兵士を見送りに来たファブレ公爵の言葉に、ルークは丁寧に頭を下げる。
「・・・よいな、セシル少将。朱炎はそなたをキムラスカからプラネットストーム停止の見届け人として選んだのだ。くれぐれも粗相はしないよう」
「はっ!」
そしてファブレ公爵はセシル少将にも大儀な事なのだと念を押し、少将も力強い敬礼を返す。
「それでは出発します、ファブレ公爵」
「うむ、気をつけよ」
「行きましょう、少将」
「はっ!」
その様子に二人に声をかけ、返事をもらうとルークはセシル少将達と共に船に乗り込む。






・・・そして港から出港しての船上。
「あの・・・朱炎様、よろしいでしょうか?」
「なんですか?」
甲板で航路上を見据えるルークに、セシル少将はうやうやしく切り出す。
「何故・・・歴史的な瞬間の見届け人として私を選んだのですか?光栄な事だとはわかりますが、私のような軍人では見届け人としては少し不適格かと思われますが・・・」
どうしても聞きたかったのだろう、あまりにも身分不適格な役目の抜擢にセシル少将はルークを不安そうに見つめながら問い掛けてくる。
確かにそうではある、突発的なものではない儀礼的な歴史の立会人には普通は格式高い身分の人間を持って来るべきなのだ。軍人は場にいても精々警護が主な役目であるのに、誰を差し置き何故自分・・・セシル少将はそう思っている。
・・・するとルークはその答えを明かす。
「ラジエイトゲートが危険な場所だからですよ、魔物がいるからとかではなく武装集団と言えるような規模の人がいるようなね」
「武装集団・・・ですか?」
「ええ」
武装集団、ルークから出された答えにピンと来ていない様子のセシル少将にルークは話を続ける。
「まずその武装集団の予想される正体と目的は」



「預言が詠めなくなることを未だ嫌う人達で、プラネットストームを停止させる事の出来るローレライの鍵を奪う事です」








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