焔と渦巻く忍法帖 epilogue

「ん、だと・・・!?」
「だっててめぇが夢見てた先にあるものって、この馬鹿姫と一緒にやろうとしてたものだろ。でもてめぇはあの髭親父のとこに行ってから、その夢見てた先の物の実現を中途半端に諦め切れてなかっただろ?ホントにファブレに、キムラスカに、そしてコイツの元に戻りたくて役に立ちたかったならてめぇが選べる選択肢は精々この二つ・・・一つ目はファブレに戻れないって現実を打破したかったんなら、俺を殺してでもファブレに戻りゃよかった。そうすりゃいくらでもやりようはあった。そして二つ目はファブレに戻れないっていっそ諦めたなら、神託の盾の『鮮血のアッシュ』としてキムラスカに戻らないって不退転の覚悟を持って影で動くって選択肢だ・・・ホントにキムラスカの事を想って行動したかったってんなら人の目を気にする必要も、自分が犠牲になることへの足踏みもねぇはずじゃねぇのか?実際俺はナルトの所にいて修業や任務についてる時はそんな些細な事気にした事もなかった・・・けどてめぇはなりふり構わずキムラスカの為に行動するだとかそういった姿勢なんか見せてもないし、信念も抱いてない。ただあるのは、かつての自分と一緒にキムラスカを作ろうだとかそういったことを誓い合っただろう婚約者と見た未来だけ・・・そんな奴が俺に比べられるとかそう言った事抜きに、周りに認められる訳ねーだろ」
「何だと・・・俺はキムラスカのことを変えたいと想って、ここに戻ってから行動して・・・」
「ヘッ、よく言えるなそんなこと。だったらお前さっき言ってたこの空っぽ馬鹿姫の愛が自分への愛じゃなく、『ルーク・フォン・ファブレ』って名前に向けての物でしかないんじゃないかって考えてるんじゃないのか?」
「「っ!?」」
自らの姿勢と煙デコの姿勢の違い。それを見下しながら話すルークに煙デコは勢いを取り戻そうとしながら返そうとするが、唐突に告げられた猪思考姫の名に対してだけの愛に気付かなかったことを言われ猪思考姫も共にビクッとする。
「名前に対しての愛しか抱けないこの馬鹿姫も愚かなんだけどさぁ、お前も相当だぜ?なんせそんな奴の愛の本質を見抜けず、その愛を一片も疑いもせずにいたんだからな。でさ、言うけどさ・・・」



「そんな奴に必死にせっつかされて飾りじゃない王にされることを強要される現状に、自身の意志があるって言えるか?それに馬鹿姫、てめぇも『ルーク・フォン・ファブレ』って名前しか愛してないのと自分が長く王女って名前でいたいからコイツを必死にせかしてたんじゃないのか?」



「「っ!!!!?」」
・・・今は婚約関係、将来は愚昧王族夫婦になる二人に最大の衝撃をルークはもたらした。それも互いの認識の中の深層心理にある、美辞麗句で飾れない醜い本音を晒す事で・・・








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