焔と渦巻く忍法帖 epilogue

「俺がまだ立場に、酔ってるだと・・・!?」
だがそれを受け入れがたいフェミ男スパッツは目を剥き、反論したそうに怒りを滲ませる。
「これってまぁ、俺が見たある復讐者の話なんだけどな」
だが反論される前にルークはハッキリとした口調で、ゆっくりと話し出す・・・うちはサスケという人物の事を。
「そいつってさぁ、幼い頃に一族郎党全て殺されてその殺した相手を恨むようになったんだよな。でまぁそんなそいつも色々あって、その相手を憎みながらも仲間が出来てきて少しずつ丸くなっていったんだよ」
「・・・」
昔語りをするルークはオーバーラップさせるような話し口でフェミ男スパッツを黙らせ、反論したいという目付きのままで留める。まぁ口を止めたのは純粋に興味が湧いたというのもあるのだろうが。
「けどそいつはある時、復讐の対象である人物に出会った。そこでそいつはその人物にズタボロにやられ、改めて考えた。自分はコイツを殺す為にはなんでもやってやる、例え蛇にその身を呑まれようともと・・・」
「蛇・・・?」
蛇という例えに釈然としない様子を見せるフェミ男スパッツ。だが蛇で例えるのは間違っていないので、ルークは訂正はしない。
「その結果そいつは強さを得る為に全てを捨て、居場所を捨て蛇の元へ走った。それが仲間との別れになると知りながらも、その人物を殺す為にな。そしてその行動が国どころか、世界を揺るがすような事態を引き起こすとわかっていてだ・・・分かるか?これがそいつと、お前の差だ」
「差・・・だと?」
サスケを例えに出すのはルークとしてもあまり気持ちのいいものではないが、それでも目の前にいる中途半端極まりない存在に対しては十分過ぎるくらい効果を発揮する。
ルークは分かるかと問うが、イマイチ理解しきれていない声を出すので更に続ける。
「復讐ってのは、言ってみりゃわがままなんだよ。相手の都合なんか気にせず、自分の気持ちに収まりがつかないからそうする・・・大層に飾っちゃいるが本質は至って単純なわがままなんだよ、復讐って代物はな。ただ思った通りになるかどうかは別にしても、復讐相手が正しい事をした上に起こった事かそうでないかなんてのも関係ない。そして周りがどうなろうかなんてのも関係ない。なんせそいつの起こすわがままなんだからな、わがままに倫理なんてないんだよ・・・聞いた事あるか、周りに一切迷惑をかけずわがままをしたなんて矛盾が通ったなんて話?」
「・・・いや、ない。ないがこれがなんの関係がある?俺はあくまで憎いという気持ちを抑えきれないからファブレを出たいと言ってるだけだぞ・・・!?」
そこから復讐の本質を交えたわがままの例え話を出され、フェミ男スパッツはよりわからないと苛立ちを交えながら問い返す・・・どうやら数年も経ってもまだ直接殺される事はないと踏み切っての苛立ちのようだが、何回でも殺せるのだルークは。フェミ男スパッツの体もだが、心などいとも容易く。
「まぁそいつは復讐することを忘れず、目標に向かって進んできた訳じゃん。けどお前は復讐どころか殺す対象を殺す事もせず撤退する訳じゃん。それってハッキリと言えば」



「お前の一族奪われた恨みって世界相手にしたらすぐに揺いでしまうような、中途半端なもんだったのか?って事だよ」



「!?なん、だと・・・!?」
そして殺すからには手加減など加える気もない。ルークはストレートにその甘さを中途半端と告げ、今度はフェミ男スパッツの目を動揺で大きく剥かせる。
「殺したら戦争になる、なんて言われてそれが嫌だから復讐を止める・・・そう考えたってんなら、俺はそれを咎める気はない。まぁ世界が平和って状態にあってこしたことはないからな。ただそうなったら復讐だとか憎いだなんて気持ち、口にすることは許されない・・・少なくとも俺は許さない」
「・・・!」
そしてその目を射抜くよう、ルークは鋭く目を合わせフェミ男スパッツをのけ反らせる。









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