「・・・という訳です。障気に対し取れる対策は二つ・・・このままでいればいずれは障気は復活することになります。確実に障気を復活させないようにするにはプラネットストームを止める必要がありますが、代償として音素を用いた技術に譜術がこの世界から使えなくなります・・・そして、預言も詠めなくなります」
‘‘‘‘っ！’’’’
対策も説明し終わり、プラネットストームを止める事の代償の預言の部分でルークは声を落とし民衆にそのことを確認させる。
「ですがもし後に任せようと放っておいたなら、障気がいつ復活するかもわからず仮に復活した時に止めたとしてもまた障気中和装置が壊れたならその度に障気の中和に追われる事になり、解決策があるにも関わらずいつまでもいたちごっこを繰り返す事でしょう・・・それらから言える事ですがどちらを選ぶにせよ、なんらかの問題を抱える事になります。こればかりはどちらを選ぶにせよ、避けることは出来ません」
‘‘‘‘っ！’’’’
更に放任を選ぶ事がどれだけ危険なのかを強調しつつ、どちらを選んでも代償が払われる事を告げ民衆を精神的に一層追い詰める。



・・・前置きはこれでいい。下準備を全て終え、ルークは毅然とこの問題に立ち向かうよう改めて顔を作り第七譜石をもう一度取り出しながら前を向く。
「・・・ここまで聞き、皆様もお分かりだと思います。この世界がどれだけ障気の脅威に脅かされているのか、障気に対しどれだけ真摯に向かい合わねばならぬかを・・・ただ障気もそうですが、先程の預言の中身も皆様に多大な衝撃をもたらした事かと思います」
‘‘‘‘・・・’’’’
預言、そう言われ更に引いた様子を民衆はなる。
「私もローレライを解放してこの第七譜石に詠まれた預言を聞いて驚きましたが、その第七譜石があった場所と後にディスト殿から話を聞いた時には言葉に出来ない更なる二重の驚きがありました。何故なら」



「第七譜石がホドにあり、ヴァン謡将がその第七譜石を詠んでいたというのですから」



‘‘‘‘！？’’’’
・・・最大級の衝撃をルークは放り込んだ。世界の人々の心にまだ新しい老け髭の処刑から明らかになった老け髭の預言への復讐とその預言の内容なだけに、動機の更に先にあったものへの驚きは相当の物だと容易に想像出来る。
「この譜石がホドにあったことはローレライが証言してくれた後、ディスト殿は語ってくれました。ヴァン謡将がいかに預言を憎み、その中でホドに第七譜石があってそれを詠んでから始まったと語っていた事を・・・その時は第七譜石の有無については半ば半信半疑だったとディスト殿は言っていたのですが、ローレライからそのことを聞いて俄然真実味を伴った物となりました。話を聞けば聞く程に、つじつまが合っていったことで・・・」
‘‘‘‘・・・’’’’
一部捏造した話になってはいるがそれでも証言者とその証拠が揃っているだけに、民衆達は何も言えず聴き入ってしまう。
「ヴァン謡将のやり方は到底認められた物ではありませんが、第七譜石の内容から考えてみればその中身を変えたいと思うのは当然かと思います・・・それを踏まえて私個人の考えですみませんが、その預言通りにならない為に先程の対策の二つの内で取るべき対応はプラネットストームを止める事・・・こちらの方が私はいいかと思います。例え音素が世界から消える事になっても世界の意志を無視してまでの改革ではなく、地位も人種もなく世界が一丸となって取り掛かれる改革が・・・」
‘‘‘‘おぉ・・・’’’’
自身の考えを老け髭を引き合いに出す事で大いに世界の味方だと示すルークに、民衆は感嘆の声を緩やかに上げる。
「ただ・・・私がプラネットストーム停止をしたほうがいいというのには、もう一つ理由があります」
‘‘‘‘？’’’’
・・・上げて落とすやり方があるよう、落として上げるやり方も当然ある。
その揺さ振りにより民衆がガクガクに心を揺さぶられる中、プラネットストーム停止を三年後に決定づける為の決定打を放つ。










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